研究概要 |
すでに、我々の教室では、4-META/MMA-TBB系レジンシーラーの溶出成分の培養骨芽細胞への影響を検討した実験結果からTBBの構成成分ホウ素 (B) に注目し、現在培養骨芽細胞増殖・分化へのBの影響を検討する実験を開始している。 至適ホウ素濃度は、NOS-1(ヒト骨肉腫由来骨芽細胞株)細胞をつかった低濃度TBBを培地に添加したMTT実験結果から、0.125mM添加無血清α-MEM培地で細胞の増殖傾向を確認できたので、今回はホウ素を0.1mM培地に添加した。次に、0.1mMホウ素を添加無血清α-MEM培地でNOS-1細胞 (1.517×106 / 60mm dish) を3日間培養した。使用したマイクロアレイは、GeneChipHuman Genome U133 Plus 2.0 Array (Affinity社)で、Expression ConsoleTMを用いて、RNAアルゴリズムによる数値化を行った。また、数値化後のシグナル値をquantile法により正規化した。 マイクロアレイ解析によって、Zスコアが2.0以上に増強している遺伝子が8個確認できた (CFDP, SDF4, MAP2K1, CTNNA1, COL1A1, CACNA1A, AKT1, AKT2)。いづれも、細胞の増殖、分化と関連した遺伝子である。マイクロアレイ解析時と同条件で細胞を播種し、培養3日目にTRIzolⓇ試薬(Invitrogen)内で細胞を回収しtotalRNAを抽出した。total RNNからDNAを合成し、RT-PCR (Mx3000P, Strategene) 解析を行った。RT-PCR解析の結果、初めの7個の遺伝子は1.2倍以上に発現の増強することも確認できた。今回、初めてホウ素を培地へ添加することで、培養骨芽細胞の増殖・分化を促進することを直接確認することができた。
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