研究課題/領域番号 |
25670813
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土谷 昌広 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60372322)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30400261)
西岡 貴志 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50641875)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 糖尿病 / Soft food / 咀嚼機能 |
研究概要 |
近年,Network Medicineの概念から糖尿病に代表される代謝性疾患の治療法が更に包括的なものとなっている.咀嚼機能の低下と糖尿病や肥満などの代謝性疾患との関連は示唆されているが,咀嚼機能と代謝性疾患を繋ぐ明らかなエビデンスは認められない.本研究では,咀嚼機能の低下により生じる軟食傾向といった食習慣の質的低下が,肝臓を中心とした糖代謝機構の恒常性を障害することを示し,咀嚼が肝臓を刺激するメカニズムについて明らかとする. 実験系としてはシンプルにマウスを粉末食にて長期飼育し,インスリンやアドレナリン、グルココルチコイドといった血糖値の調節機構の変化について生化学的手法を用いて検討を行った.長期飼育を25週齢まで行い,実験対象として用いた.採取した血液について,粉末食群の平常時のインスリン濃度の低下,アドレナリン,コルチコステロンの上昇が認められ,平常時血糖値の有意な上昇が認められた.加えて,行動についても粉末食飼育群とコントロール群の間に違いが認められたため,それらについて2報の論文にまとめ,発表を行った. 上記の結果に加え,次年度はIL-6シグナリング分子の動態について検討を行っていく予定である.それらは,軟食化傾向な食習慣は咀嚼活動によるIL-6産生を低下させ,肝臓の糖代謝機構の恒常性を破綻させることで代謝性疾患の発症基盤となることを示す. soft foodやfast foodといった食生活の崩壊と肥満や生活習慣病との関連が示され,『食生活の悪化』は深刻な社会問題となっている.しかしながら,食生活の悪化が咀嚼機能の低下に起因するものであっても,治療の選択肢に補綴治療が求められるケースは少ない.我々は咀嚼運動により産生されたIL-6が肝臓に直接作用する可能性について報告し,代謝性疾患の診断・治療・予防に歯科が主体となる咀嚼機能の維持・回復の意義について明らかとすることを目的とする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
粉末食飼育による糖代謝調節機構の破綻については,平常血糖値の上昇とインスリン,アドレナリン,コルチコステロンの血清濃度の変化から,粉末食飼育に伴う高血糖傾向が示された.これらは食餌の消化・吸収性と関連することが予想される.すなわち,粉末食飼育では食餌前後の血糖値の変動が大きく,それらが糖代謝調節機構への慢性的な負荷となり,結果として糖代謝に関連するホメオスタシスの変調が来されたものと推察される. 本年度の総括として,我々の仮説を立証するうえで非常に有用な結果が出たものと考えられる.すなわち,本研究計画に則った内容で査読有論文を2報発表することができた。反対に来年度については本年度の研究内容を更に発展させる内容となり,preliminaryなものを複数薦める予定である.まとめとして,今後の我々の研究計画を進める上で,重要な指針を与える結果が本年度は得られたものと言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後,粉末食飼育によって誘導される中枢系の変化(ドーパミンやセロトニン神経系の代謝動態の)と内分泌系への影響についても検討を行い,糖代謝調節機構の破綻に関して更なるメカニズムの解明を行っていく.また副腎の形態学的検討から,束状帯の肥厚が示され,これらの結果は血清コルチコステロンレベルの上昇の現の比較から,IL-1βが本研究の仮説における主要な因子であることが予想される.筋衛星細胞をFACSなどを用いて回収し,運動時の筋組織内に対するIL-1の働きについて直接的な解析を行い,本研究の目的である,筋障害から回復する上で有効な,それらの活用法についても検討を行う予定である. 本年度は実験に使用するマウス代にくわえ,平成25年度に購入予定であったが,実験に進行状況上から購入を見送った薬品,抗体などの実験材料費に充てる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験施設改築のため,動物の購入代や実験試薬等の使用量が少なかったため 実験に使用するマウス代にくわえ,平成25年度に購入予定であったが,実験に進行状況上から購入を見送った薬品,抗体などの実験材料費に充てる予定である.
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