歯の喪失はアルツハイマー病のリスク因子と考えられてきたが,歯の喪失がアルツハイマー病の分子病態に及ぼす影響は未だ十分に解明されているとは言い難い。そこで,本研究課題ではアルツハイマー病モデルマウスを用いて,歯の喪失がアルツハイマー病の分子病態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 14ヵ月齢のADモデルマウスの上顎臼歯部を抜歯する群と抜歯しない群に分け,4ヵ月後,脳内の病態および学習・記憶能を比較した。その結果,脳内アミロイドβや海馬錐体細胞数,学習記憶能に差はなかった。本研究の結果,アルツハイマー病が進行した状態での歯の喪失はアルツハイマー病態を悪化させるほどの影響を与えなかった。
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