研究概要 |
本年度実施した研究は歯科用合金4種類(タイプIV金合金、銀パラジウム合金、コバルトクロム合金、ステンレススチール合金SUS304)を板状に鋳造もしくは切断加工した試験片表面をサンドブラスト処理もしくは鏡面研磨後に、PLD法による成膜を試み、歯冠色の再現性や溶出試験により溶出元素の抑制効果の検証について実験を行った。鋳造により試験片を作製した合金は鋳造歯冠修復用の前3者の合金で、後者のステンレス鋼合金は既製冠に用いられる合金で、審美歯科に深く関係する。PLD法によるアルミナ成膜は、50 nmと100 nmの2種類の膜厚とした。成膜後の各合金試験片の色調を目視により確認し、溶出試験を行った。溶出試験は各処理合金を生理食塩水と2%乳酸に1週間浸漬し、合金の構成元素について溶出が抑制されるかをICP発光分光分析により検証した。検証した元素は金合金がAu, Pd, Ag, Cu Zn、銀パラジウム合金がAu, Pd, Ag, Cu、コバルトクロム合金がCo, Cr, Mo、ステンレス鋼がCr, Fe, Mn, Ni, Siであった。PLD法による膜厚が50 nmと100 nmと、大変薄く、色調は母材の表面色調に影響を受けているということが示唆された。溶出元素は生理食塩水よりも乳酸の方の溶出量が若干多い傾向があったが、各合金元素の抑制ははっきりとは観察されなかった。
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