研究概要 |
平成25年度は異なる表面水和構造を持つ可能性のある種々の無機イオンを含有するリン酸カルシウムの合成を試みた.無機イオンとしは既報に基づいてZn含有リン酸カルシウム(Honda Y, Suzuki O et al. Crystal Growth Design 11; 1462-1468, 2011)およびF含有リン酸カルシウム(Shiwaku Y, Suzuki O et al. Acta Biomater 8:4417-4425, 2012)についてそれぞれ低濃度から高濃度の種々の含有量の結晶を合成した.得られた結晶について化学分析により組成を決定し,走査型電子顕微鏡による形態観察,X線回折による結晶相の同定,またFTIRによる分光学的検討を行った.特に,表面水和構造の情報を得るためにFTIRによるカーブフィッティングを検討し,ハイドロキシアパタイト構造に属しない HPO4およびハイドロキシアパタイトに帰属されるOHの同定を試み,無機イオン含有量と加水分解傾向を検討して関連づけた(Suzuki O et al. 25th European Conference on Biomaterials, Sep 8th-12th, Madrid, Spain, 2013).一方,これら結晶の表面水和構造が及ぼすタンパク質吸着の影響を調べるため,アルブミンをモデルとして,分析に適する吸着条件を検討した.これによって,次年度に向け,表面構造と骨伝導能との関連性を調べるための基礎的なデータを整理した.
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