研究課題
本研究課題では、平成25年度に静磁場による血管上皮細胞の有意的増加を見出したこと、平成26年度に磁気回路の基材となる窒素固溶相(γ相)の耐食性が窒素固溶前のフェライト相(α相)よりも向上したことを明らかにした。平成27 年度の計画は、レーザー描画磁気回路を応用したデバイスの作製とγ相の生物学的安全性の評価である。特に、基材となるγ相の製造方法が確立し、レーザー照射による凝固収縮の情報も得られたことから、飽和磁束密度が高く磁気特性に優れたSUS XM27(Fe-26Cr-1Mo)に窒素を固溶させたオーステナイト系ステンレス鋼を作製し、磁性アタッチメントに応用されているカップヨーク型の磁気回路を試作することを試みた。SUS XM27(Fe-26Cr-1Mo)を1150℃の窒素雰囲気(1atm)に保持することで、非磁性のオーステナイト相(γ相)を生成させ、基材となるγ相の相厚を固溶時間により制御することができた。φ4.22mmのXM27丸棒の外周を0.3mmだけγ相にしたディスクヨークを作製した後、レーザー光によって脱窒素を行い、外周にフェライト相(α相)を作製し、磁気回路を溶接した。この磁気回路を用いた磁石構造体を作製したところ、従来の磁気回路と同等の吸引力を得ることができた。同時に、マウス由来線維芽細胞を使用し、細胞増殖を評価した。その結果、γ相と固溶前のα相に有意な差は見られず、12週齢のウィスターラットの皮下に埋入した動物実験においても、病的所見は見当たらず、肉芽-線維性結合組織からなる被膜の厚さも有意な相違はなかった。これらのことから、レーザー描画による磁気回路は従来の方法と同等の性能を実現すること、さらに基材であるγ相の安全性が窒素固溶前と同等であることが明らかとなり、これらの結果を総合的に合わせると、血管誘導デバイスを十分に作製可能であることが明らかとなった。
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