研究課題/領域番号 |
25670838
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
福島 忠男 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80084250)
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研究分担者 |
大野 純 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10152208)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エラスチン / 細胞形質転換機能 / 骨再生 / 骨補填材 / DNA / プロタミン / 骨形成 / ペースト |
研究概要 |
研究の目的はエラスチンの特殊な機能、すなわち線維芽細胞を筋線維芽細胞にやがて骨芽細胞に変える細胞形質転換機能を利用して骨再生促進型骨補填材を開発することである。そこで、3種類のサケ由来水不溶性エラスチン,水溶性エラスチン,エラスチンペプチドを細胞形質転換誘導材として使用した。そして、これらエラスチンを骨欠損部で徐放させるにはエラスチンに適したキュアリヤー材が必要不可欠となる。DNA/プロタミン複合体(DP)は水と練和するとペーストになる特性があり、ペーストであるので他の材料を容易に配合できる優位性がある。また、どのような形態の骨欠損でも容易に補填できる。以上の理由により3種類のエラスチンを含むDPペーストを調製して、これらを骨再生促進型骨補填材の基材とした。まず、エラスチン濃度が1%~50%に成るようにDPペーストに各種エラスチンを配合した。そして、これら骨再生促進型骨補填材より作製したディスク(8mmφ × 0.8mm)をラット頭蓋骨欠損部位(直径8mm)に3ヶ月間埋入し、病理組織像およびμ-CT分析より骨形成能を比較した。その結果、最も骨再生能が優れていたのはエラスチンペプチド(濃度20~50%)含有DPペーストであった。これら結果を参考にして、口蓋歯肉からアウトグロス法にて採取した細胞を用い、エラスチンペプチド含有骨化誘導培地にて一定期間(2日から10日)培養した。そして、Real-time PCRにて遺伝子発現「α-SMA、Osteoprotegeri、core-binding factor α1 、osterix、Matrixmetalloproteinase 2 , Collagen Type 1 A2、Alkaline phosphatase、Oseocalcin 」を分析した。その結果、α-SMAおよびosterix以外の遺伝子は有意に高く発現していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3種類のサケ由来水不溶性エラスチン,水溶性エラスチン,エラスチンペプチドをDNA/プロタミン複合体ペーストに配合でき、配合比により粘性は異なっていたが骨欠損部位に問題なく補填できた。従って、本研究の基本実験となるラット頭蓋骨埋入実験が問題なく実行でき、病理組織標本やμ-CT分析より骨形成能の比較もできた。さらに、頭蓋骨埋入実験や口蓋粘膜より採取した細胞を用いた遺伝子発現実験からもエラスチン、特にエラスチンペプチドが骨形成を促進させる機能を有していることを示唆する結果も得られた。また、学会発表も2題できたのでおおむね研究は順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
3種類のエラスチンの中で最も骨形成に有効なのはエラスチンペプチドであった。したがって、エラスチンペプチド含有DNA/プロタミン複合体ペーストを骨再生促進型骨補填材の基材として今後の研究を行う。すなわち、まずエラスチンペプチドの有効濃度をさらに詳細に選定し、その濃度のエラスチンペプチドを含むDNA/プロタミン複合体ペーストを作製する。そして、このペーストにサイトカイン(TGF-β, FGF-2)を添加し、添加サイトカインの効果をラット頭蓋骨埋入実験より骨形成能を評価する。特にエラスチンとTGF-βとの相互作用は大きいのでその効果を精査する。また、繊維芽細胞をエラスチンペプチドとサイトカインが共存する培地にて培養し、Real-time PCRより遺伝子発現「α-SMA、Osteoprotegeri、core-binding factor α1 、osterix、Matrixmetalloproteinase 2 , Collagen Type 1 A2、Alkaline phosphatase、Oseocalcin 」を分析する。また、ウェスタンブロッティングよりα-SMA、collagen TypeIとOPG確認し、densitometry にて半定量化分析を行う。
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