研究概要 |
1.「研究の目的」に記載してある、口腔がん細胞株と口腔がん臨床検体におけるlet-7の発現状態は、QIAGEN ®のPCRアレイシステムにて行ったため、今後の実験計画にあるようなインヒビターやアゴニストによる形質転換細胞株を作製するために適した細胞株の選択をするために、まず細胞株でのlet-7の発現状態を再度確認した。結果は、PCRアレイシステムでの結果と同様に、口腔がん細胞株では、let-7(a,b,c,d,e,f,g)が全て発現低下を示した。従って、平成26年度は、顕著にlet-7の発現低下を示す細胞株を用いて形質転換細胞株を作製し、機能解析を行う予定である。 2.口腔がん患者(n=7)の血清中でのlet-7の発現も非口腔がん患者に比較して細胞株同様に低下を示した。この結果は、口腔がん細胞中の発現状態とパラレルなものであるため、がん細胞がエクソソームを利用してlet-7を細胞外へ分泌しており細胞内での発現が低下しているため細胞外でもその発現が低下している可能性が考えられ、さらには、let-7の発現状態はがんの悪性度や病態を反映する指標となる可能性も考えられる。 3.唾液中におけるlet-7の発現状態がまだ評価できていないが、血清における発現状態と同様の傾向を示すようであれば、非侵襲的に唾液を採取するだけで、その口腔がんの病態を把握できる可能性があると考えている。 4.口腔がん組織および口腔正常粘膜についてはサンプル数の確保が不十分であるため臨床指標との相関を評価できていない。そのため、継続してサンプル採取を行っているところである。
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