研究課題
インプラント植立、歯の移動のために、歯槽骨に比較的少量の骨増量が必要になることが多い。また、移植骨が吸収された症例において、二次的な追加骨移植が必要となる場合も多い。こうした比較的少量の骨欠損症例に対し、低侵襲で簡便に骨誘導を行うことができれば、骨移植治療は飛躍的に向上する。そこで本研究では、口腔周辺組織のうち、幹細胞が豊富に含まれると推測されるオトガイ部骨膜に着眼し、幹細胞を単離、培養して、起炎性が低く、細胞親和性が高い新規ペプチドゲルPuraMatrixと混和して注入型の再生を開発し、歯槽骨増量の有用性を検証した。そのため、オトガイ部骨膜から細胞を単離・培養し、スフェロイド形成効率などを指標として多分化能を有する幹細胞を検索した。次いで、コロニー形成細胞と通常の培養骨膜由来細胞を比較するため、レクチンアレイを用いて簡便にかつ網羅的に表面糖鎖を評価し、両者の相違性を把握した。ついで、マイクロアレイ法を用いて、網羅的に遺伝子情報を把握した。アレイデータをクラスタリングアルゴリズムおよびグラフ比較アルゴリズムによって解析した。次いで、マイクロアレイ法で得られた遺伝子指標を参考にしつつ、フローサイトメーターを用いて間葉系細胞の代表的な表面抗原や、骨髄由来幹細胞マーカーの発現レベルを検討し、特異的なマーカーを3種類程度に絞り込んだ。セルソーターを用いて、コロニー形成細胞から上記マーカーで選別される細胞を分取し、増殖曲線による増殖評価と骨・軟骨・脂肪分化などの多分化能を評価し、選別前のコロニー形成細胞や単層培養による培養骨膜由来細胞の結果を比較して幹細胞特性の向上を確認した。最後に、ラット骨欠損モデルで骨膜由来幹細胞の骨形成を評価するとともに、注入型骨膜幹細胞注入ゲルを確立し、ラット抜歯窩モデルで歯槽骨増量における有用性を検証した。
すべて 2014
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Jpn. J. Jaw Deform
巻: 24 ページ: 16-26
http://dx.doi.org/10.5927/jjjd.24.16