研究課題
挑戦的萌芽研究
医の倫理委員会の承認を受け、京大病院ですでに研究がスタートしている「ヒト疾患特異的iPS細胞の作成とそれを用いた疾患解析に関する研究」のプロジェクトの一つとして本研究に取り組んだ。研究参加の同意の得られた線維性異形成症(Fibrous Dysplasia of bone: FD)患者3人の病変部の手術検体より細胞を採取した。CiRA(京都大学iPS細胞研究所)において、レトロウイルスベクターを用いて4遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)を導入することによりiPS細胞の作成を試みた。 FD病変部位において、GNAS遺伝子変異のある変異細胞とない健常な細胞とがモザイク状態で分布していると報告されているため、1人目の患者さんにおいて、手術検体の病理組織切片の病変部から抽出したgenomic DNA において201番目のArgの遺伝子変異の有無を確認した。ダイレクトシークエンスにて201番目のArgの遺伝子変異の確認することができた。そこで、12クローンのiPS細胞を作成し、病変採取部位から樹立したiPS細胞よりgenomic DNAを抽出し、ダイレクトシークエンスにて201番目のArgの遺伝子変異の有無を確認した。12クローンすべてが正常型で、変異型のiPS細胞は認めなかった。そこで、2人目の患者さんからは、樹立するiPS細胞クローンの数を増やすこととし、61クローンのiPS細胞を樹立した。同様に変異の有無を確認したが、201番目のArgの遺伝子変異を有するiPS細胞株を得ることはできなかった。3人目の患者さんにおいては、手術検体と手術検体より得られたiPS細胞作製するための培養細胞からそれぞれgenomic DNA抽出し検討を行っているところだ。
3: やや遅れている
現在までのところ、研究参加の同意の得られた線維性異形成症(Fibrous Dysplasia of bone: FD)患者3人から、多数のクローンのiPS細胞の株を樹立したにも関わらず、GNAS遺伝子に変異のある疾患特異的iPS細胞の樹立には至っていない。以後の研究に必要なGNAS遺伝子に変異のないコントロール用のiPS細胞は多数確保することができたが、疾患特異的iPS細胞の樹立できていないため、以降の実験にすすむことができない状況である。早急に疾患特異的iPS細胞の樹立に努める。
現在までのところ、病変組織より多数のクローンのiPS細胞の株を樹立したにも関わらず、GNAS遺伝子に変異のある疾患特異的iPS細胞の樹立には至っていない。原因として考えられることとしては、1)病変部では、変異細胞とない健常な細胞とがモザイク状態で分布しているとされるが、変異細胞の割合が健常細胞に比較して著しく少ない。2)病変部の手術検体より細胞を採取する際に、変異細胞と健常細胞の増殖スピード著しく異なり、結果としてiPS細胞をつくるための細胞の中の変異細胞の割合が著しく少ない。3)変異細胞では、健常細胞と比較し、iPS化の効率が著しく悪い。などの可能性が考えれれる。そこで、病変部、手術検体より得られたiPS細胞作製するための培養細胞における変異細胞の割合を算出するために、それぞれのgenomic PCRのfragmentをplasmid vectorにサブクローンすることによりクローン化する。50-100クローンをシークエンスし、そこで検出される変異型の割合から、病変部、iPS細胞作製するための培養細胞それぞれの変異細胞の割合を算出する。病変部と培養細胞の変異細胞の割合がほぼ同じであれば、培養細胞の作成方法に問題ないことになるため、もともとの変異細胞の割合の5-10倍程度のiPS細胞クローン(5%であれば、25-50クローン程度)を作成数の目安とする。培養細胞で変異細胞の割合が下がるようであれば、培養方法を得るための方法を見直し、変異細胞の得られやすいような培養細胞の作成方法を検討する。
現在までのところ、研究参加の同意の得られた線維性異形成症(Fibrous Dysplasia of bone: FD)患者3人から、多数のクローンのiPS細胞の株を樹立したにも関わらず、GNAS遺伝子に変異のある疾患特異的iPS細胞の樹立には至っておらず、研究の進行に遅れがでている。そのため、予定していた研究費を使用する必要がなかったため。現在遅れがでている研究を期間内に完了するために、今年度に研究の進行に合わせて使用する予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)
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