研究課題/領域番号 |
25670859
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
宮本 洋二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20200214)
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研究分担者 |
永井 宏和 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50282190)
玉谷 哲也 徳島大学, 大学病院, 講師 (30274236)
内田 大亮 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | iPS細胞 / スキャフォールド / 骨芽細胞 |
研究概要 |
iPS細胞はあらゆる細胞に分化できるが、効率の良い骨芽細胞への分化誘導法は開発されていない。そこで、iPS細胞の分化誘導のために再生医療において重要なファクターであるスキャフォールド(SF)を利用し、骨芽細胞を効率的に誘導することを考えた。 本年度は、まずiPS細胞の維持培養を確立し、骨芽細胞への分化誘導を確認するとともに、スキャフォールドとして、カーボネイトアパタイト(CAp)を用い、in vitroで骨芽細胞への分化が誘導されるか検討した。ヒトiPS細胞(253G1)は理化学研究所から購入した。マウス胚線維芽細胞(MEF)をフィーダーとして培養し、iPS細胞の未分化能を確認した。また、in vivoへの応用のため、iPS細胞のフィーダレス培養を行い、未分化能を確認することができた。さらに、フィーダーフリーで培養したiPS細胞を骨分化誘導培地で3週間培養し、骨芽細胞への分化誘導を検討したところ、アリザリンレッド染色により少量の石灰化ノジュールが確認された。 続いて、iPS細胞をCAp顆粒を含有した骨分化誘導培地で培養し、培養を試みたが、細胞増殖は抑制された。しかしながら、一部のiPS細胞は顆粒に接着し、骨芽細胞樣の細胞が誘導されていた。 また、CApディスクを作製した。Ca(OH)2粉末を用いて、同様に成型し、室温でCO2ガスを流通させて炭酸化を図り、その後、Na2HPO4水溶液中で60℃、14日間放置してリン酸化を行い、CApディスクを作成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPS細胞とアパタイト顆粒を用いて細胞分化誘導を試みたが、細胞増殖が抑制される傾向があったため、予想通りの骨芽細胞分化誘導を得ることができなかった。アパタイト顆粒によってpHが変化したこと、またアパタイト顆粒が細胞培養時に可動性を有し、物理的に細胞接着、細胞増殖を抑制したためと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、in vitroでiPS細胞とアパタイト顆粒を用いた細胞分化誘導を再度行う。今年度、細胞増殖が抑制される傾向があったため、物理的な抑制を排除するため、アパタイトディスクを用いて再度検討を行う。 続いて、多孔質のポリウレタンフォームを用いて連通気孔を有するα-TCPフォームを調製し、さらに、炭酸塩水溶液中で水熱処理することにより溶解-析出型の相変換反応を行い、形態を保ったまま組成をCApに変換し、連通気孔を有するCApスキャフォールドを作成する。この多孔性を有するスキャフォールドを用い、in vitroで骨芽細胞への分化誘導を検討するとともに、そのスキャフォールド内で培養したiPS細胞を用いてヌードマウスの皮下に移植することでin vivoで骨再生能を検討し、マイクロCTおよび組織学的評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
iPS細胞培養のための試薬購入が当初の予定より少なかったため。 次年度は、動物へのin vivo応用のため、iPS細胞を大量培養する必要があり、試薬および培養器具を追加で購入する予定である。
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