研究課題
iPS細胞はあらゆる細胞への分化能を有する細胞であるが,効率の良い骨芽細胞への分化誘導法は開発されていない.これまでのiPS細胞の分化誘導研究は誘導因子によるものであり,再生医療において重要なファクターであるスキャフォールドに関する研究はほとんどない.申請者らは,骨の無機質の構造を微小環境としてスキャフォールドに導入すれば,iPS細胞を効率よく骨芽細胞へと分化させることができると考え,昨年度,iPS細胞とCAp顆粒を混合して骨分化誘導培地で培養し,一部の細胞がCAp顆粒に接着して骨芽細胞様の細胞が誘導されたことを確認した.本年度は,効率よく骨芽細胞への分化誘導を行うために,iPS細胞の間葉系幹細胞への分化誘導法を検討し,さらに,連通気孔を有するCApスキャフォールドを作製した.iPS細胞の間葉系幹細胞への分化誘導:コンフルエントに達したiPS細胞をペトリディッシュ上に播種し,形成された胚様体を細胞培養用ディッシュに移して10-6 Mのレチノイン酸を加えたDMEM-10% FCSで培養した.8日後に,全細胞を回収し,ゼラチンコートした細胞培養用ディッシュで1時間培養し,接着細胞を血清低減培養液に10ng/ml bFGFを加えた間葉系間細胞用培地で継代培養し,iPS細胞由来の間葉系幹細胞を得た.多孔質のポリウレタンフォームをα-TCP懸濁液に浸漬乾燥させてウレタン骨格にα-TCPを付着させた後,焼成することで,α-TCPの焼結とウレタンフォームの焼却を同時に行って,連通気口を有するα-TCPフォームを調製した.このα-TCPフォームを炭酸塩水溶液中で水熱処理することで溶解析出型の相変換反応を行って,連通気孔を有するCApフォームを作製した. X線回折装置およびフーリエ変換赤外分光光度計の分析から,作製したCApフォームは低結晶性のCO3-APであることが明らかとなった.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
J Mater Sci: Mater Med
巻: 26 ページ: 99
10.1007/s10856-015-5431-5