研究課題/領域番号 |
25670862
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 悦秀 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00231639)
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研究分担者 |
中野 旬之 九州大学, 大学病院, その他 (60511730)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔外科学一般 / 顎変形症 / 顎位 / 頭位 / 姿勢 / 歩行 |
研究概要 |
平成25年度は計測システム開発とデータ評価法の検討を行なった。 1.システム開発:本研究で使用する備品は、デジタルマネキンシステムとモーションセンサーシステムの2つである。デジタルマネキンシステムはパッケージソフトウェアであり、簡単なカスタマイズで使用可能となった。モーションセンサーシステムは、3次元計測機(Kinect、マイクロソフト社、既存品)2台を5m間隔で対向させ、身体の前後の形状および動きを時間とともに計測する4次元計測システムである。モーションセンサーシステムは(株)アイヴィスに作製を依頼した特注品で、製品仕様を協議しながら作製し、平成25年12月末に完成した。2つのシステムは既存のモバイルワークステーションにインストールした。 2.デジタルマネキンシステムの動作検証:デジタルマネキンシステムに被験者の身体パラメーターを数個入力することにより、被験者の身体形状に近似した身体モデルを生成できることを確認した。 3.モーションセンサーシステムの動作検証:キャリブレーションを行なった後、寸法既知の物体に装着したマーカー間の距離を計測したところ、身体の計測に耐えうる精度が得られることが明らかとなった。さらに、健常被験者にボディスーツを着せ、この上に計測用マーカーを付けてマーカーの3次元的な動きが時間軸とともに計測できることを確認した。マーカー数は最大19個の計測が可能であった。 4.被験者の頭位・姿勢・歩行の解析方法と計測パラメーターの確立:被験者をモーションセンサーシステムの前で一定時間立たせて、頭蓋の重心と頸椎関節の角度の時間経過を繰り返し計測し、頭位、姿勢を評価するパラメーターを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システム構築、動作確認および計測精度検証を終了し、システムが身体計測に耐えうることを明らかにした。これにより、本研究の遂行が可能となった。現在、健常被験者(ボランティア)の計測に向けて、マーカーの設置方法、設置位置、計測条件を検討しており、これらの条件をほぼ固められた状態である。 平成26年度に開始予定である顎変形症患者を被検者とした研究は、患者を対象とした臨床研究(非侵襲の観察研究)となるため、九州大学病院倫理審査委員会の承認を得るべく、準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は下顎位が大きく変化する顎変形症患者を検討対象とした臨床研究を行ない、下顎位の変化が、頭位・姿勢・歩行に変化を与えるか否かを検証する。 1.九州大学病院倫理委員会の承認を得て、顎矯正治療を受ける顎変形症患者の術前後の頭位・姿勢・歩行を4次元的に計測し、その変化を定量的に解析する。計測は前年度に確立した計測プロトコールに従う。計測は、手術直前と創が落ち着いた術後3ヶ月とし、術後は顎間ゴム装着が終了して外力の加わっていない状態で行う。症例数は20例を予定している。 2.対照には前年度に計測したボランティアのデータを用いる。ボランティアの計測は、日を変えて複数回行なう。 3.顎矯正手術前後で頭位・姿勢・歩行に変化が認められるか、単変量および多変量で解析し、検証する。 4.さらに、顎変形症患者の下顎位の変化ベクトルを算出し、頭位・姿勢・歩行の変化ベクトルと多変量で比較し、一定の傾向が認められるか否かを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
専門知識の提供が必要となり、外部から専門家を招くことを計画したが、平成25年度中の来訪が困難とのことで、助成金使用額が少なくなった。 専門知識の提供は平成26年度早々に実施予定である。残金は、平成26年度助成金とともに、計測マーカーなど消耗品購入に使用される予定である。 平成26年度助成金は研究遂行(計測)のための消耗品購入、研究成果の発表に使用される。
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