研究課題/領域番号 |
25670862
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 悦秀 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00231639)
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研究分担者 |
中野 旬之 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60511730)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔外科学一般 / 顎変形症 / 顎位 / 頭位 / 姿勢 / 歩行 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、被験者の頭位・姿勢・歩行の解析方法と計測パラメーターの確立を行った。以下の作業を6名の健常被験者を対象に行った。 計側点の定義は、計側点は左右額、下顎中央、第1胸椎、左右肩関節、第6胸椎、第1腰椎、第1仙椎、左右股関節、左右肘関節、左右手首、左右膝関節、左右足首の19点である。第1胸椎、第6胸椎、第1腰椎、第1仙椎、は背面にマーカーを付与し、その他の計側点は前面に付与した。計側環境は、2台の計測器(Kinect)を対向させて人体の前面と背面を同時に計測するが、その距離の最適化を行ったところ5mが適当との結論を得た。歩行の計測は数歩分であるため、歩数を決定する必要があった。計測用マーカー装着方法の検討では、Kinectは赤外線を感知して距離計測を行うが、その性能から計測用マーカーは直径5cmの円形となる。静止時の計測では問題になる誤差を生じないが、身体を動かした時には誤差が生じる可能性があるが定量は困難であった。また、同一被験者を、時期を変えて計測する場合、マーカーの位置の再現性が問題になる。当初被験者にボディスーツを装用させる計画であったが、より簡便に計測するため試行錯誤を繰り返した結果、被験者が所有するTシャツ等の上に両面テープで装着する方法とした。静止時計測時間の検討は、当初10~15分程度の連続計測を計画したが、健常者の姿勢の揺らぎは少なく、約10秒の計測を複数回(5回以上)行うことが妥当と判断した。計側の再現性の検討は、計測の再現性はマーカー装着の正確性によると考えられた。各計側点の位置決定の定義が必要であった。歩行時計測方法の検討では、歩数を5歩とした。動きを解析するためには一定のリズムで歩行させる必要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
システム構築、動作確認および計測精度検証を終了し、システムが身体計測に耐えうることを明らかにした。健常被験者(ボランティア)を用いて計測方法、計測条件の最適化を行ったが、マーカーの設置方法の最適化に時間を要し、顎変形症患者を被検者した計測が未済である。健常被験者の計測を終え、計測方法、計測条件の最適化を完了したため、今後顎変形症患者の術前後の姿勢、歩行を計測する。
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今後の研究の推進方策 |
今後、下顎位が大きく変化する顎変形症患者を検討対象とした臨床研究を行い、下顎位の変化が、頭位・姿勢・歩行に変化を与えるか否かを検証する。 1.顎矯正治療を受ける顎変形症患者の術前後の頭位・姿勢・歩行を4次元的に計測し、その変化を定量的に解析する。計測はすでに確立した計測プロトコールに従う。計測は、手術直前と創が落ち着いた術後3ヶ月とし、術後は顎間ゴム装着が終了して外力の加わっていない状態で行う。症例数は20例を予定している。 2.対照にはすでに計測した健常被験者のデータを用いる。 3.顎矯正手術前後で頭位・姿勢・歩行に変化が認められるか、単変量および多変量で解析し、検証する。 4.さらに、顎変形症患者の下顎位の変化ベクトルを算出し、頭位・姿勢・歩行の変化ベクトルと多変量で比較し、一定の傾向が認められるか否かを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度内にシステム開発者と精度検証の打合せを行う予定であったが、先方のスケジュールが調整できず、出張旅費の執行ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
できるだけ早期にシステム開発者との打合せを行う予定である。
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