研究実績の概要 |
口腔癌N0症例における後発頸部リンパ節転移(20~40%)は予後因子となり,その制御が極めて重要である.予防的頸部郭清術は侵襲が大きいため,近年センチネルリンパ節生検が口腔癌にも導入されてきたが,RI法を用いたセンチネルリンパ節生検では放射線被曝や大きな皮膚切開といった問題があった.これらを改善するために,インドシアニングリーンを用いた低侵襲なセンチネルリンパ節生検を開発してきたが,本邦を普及させるにはまだいくつかの問題が残されている.本研究の目的は口腔癌N0症例における頸部リンパ流とをRIを用いずに確実に同定し,インドシアニングリーンと近赤外線カメラ内蔵内視鏡を用いた小切開による低侵襲なセンチネルリンパ節生検を確立することである.舌癌N0症例に対してRI法を用いないセンチネルリンパ節の同定法として3D CT lymphographyを行ったにて舌癌周囲4か所に各0.5ml(計0.5ml)の造影剤を局注した後,64列マルチディテクターCTで1mmスライスで撮影した.画像はaxial, coronalをまず作製し,その後に再構築することで3D画像も構築した.レベルの異なる複数のセンチネルリンパ節が描出された場合には,切開部が複数になることがあるため,本研究では1つの切開部位からアプローチする低侵襲なセンチネルリンパ節生検を可能とするための近赤外線内臓の内視鏡の開発に取り組んできた.頭頸部で使用するための内視鏡としては,直径が4~5mmである必要があるが,現段階では10mm径の内視鏡までしか開発できていない.今後,細径化を進めて,頭頸部で使用できるようにしていくため,開発を継続していく予定である.
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