研究課題/領域番号 |
25670870
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松原 琢磨 東北大学, 大学病院, 助教 (00423137)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 破骨細胞 |
研究概要 |
破骨細胞性骨吸収に必須のチロシンキナーゼc-Srcはアクチン細胞骨格および細胞接着を制御することにより破骨細胞が骨吸収を行うことが知られている。しかしながら、c-Srcがアクチンを制御する分子機構には不明な点が多く残されている。そこで、タンパクの一次構造が類似していながら機能が異なるSrcファミリータンパク質Lynと比較することにより、c-Srcの機能を明らかにする。 平成25年度ではc-Src、Lynおよびc-SrcとLynのキメラタンパク質を発現するcDNAの作成を行った。さらに、そのcDNAをアデノウイルスベクターに組み込み、破骨細胞への遺伝子導入を可能とした。c-Src遺伝子欠損マウス脾臓より分化誘導をした破骨細胞様細胞は破骨細胞に特徴的なアクチン細胞骨格構造であるアクチンリングを形成せず、そのため骨吸収を行えない。これまでの研究により、c-Srcの過剰発現によりc-Src遺伝子欠損マウス由来の破骨細胞様細胞はアクチンリングの形成がレスキューされ、骨吸収機能も回復することが明らかになっている。一方、Lynの過剰発現はc-Src遺伝子欠損マウス由来の破骨細胞様細胞のアクチンリング形成をレスキューしなかった。c-SrcとLynのキナーゼドメインを交換したキメラタンパク質はいずれもc-Src遺伝子欠損破骨細胞のアクチンリングの形成を誘導しなかった。LynのSH2ドメインをc-Srcに組み込んだキメラタンパク質はc-Src遺伝子欠損破骨細胞のアクチンリングの形成を誘導したが、それ以外のキメラタンパク質はc-Src遺伝子欠損破骨細胞に影響を及ぼさなかった。この結果からc-SrcのSH2ドメインはLynのSH2ドメインとほぼ同等の働きをしていることが示唆された。 また、現在質量分析法によりc-Srcに結合する新規タンパク質を検索中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に予定したc-SrcとLynのキメラタンパク質の作成および、破骨細胞における機能を明らかにできた。また、c-Srcと結合しアクチン細胞骨格を制御する候補遺伝子の探索を行う目的で、質量分析も行った。以上の2点は申請時に予定した通りの進行状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
c-Srcと結合する新規タンパク質を検索する実験はコスト面で当初予定していた破骨細胞から線維芽細胞に変更したものの、c-Srcと結合しアクチン細胞骨格を制御する候補遺伝子が質量分析法により挙げられた。平成26年度はこれらの候補遺伝子をスクリーニングし、破骨細胞における役割を明らかにしていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
質量分析によって同定した遺伝子の一つが非常に大きく、クローニングが困難であったので外部委託したが、納期が予定より遅くなり年度をまたいでしまったため、そのクローニング委託料分を次年度使用額となった。 年度をまたいだクローニング委託料として支払い、その他の26年度分予算は当初の予定通り、抗体、DNA組換え、細胞培養等の試薬などとして使用する。
|