研究課題/領域番号 |
25670871
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宿南 知佐 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (60303905)
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研究分担者 |
山本 照子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00127250)
滝本 晶 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定助教 (00378902)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯学 / メカニカルストレス / 歯根膜 / Scleraxis / トランスジェニックマウス |
研究実績の概要 |
トランスジェニックマウスを用いた解析によって、組織特異的エンハンサーを含むScxの下流5.3kbには、張力に反応するエレメントが含まれることが示唆された。この領域に含まれる張力応答性のシスエレメントの解析を、in vitroとin vivoの実験によって進めている。Waldo法を用いた実験では、牽引側の歯根膜においてSmad3を介してTGF-betaシグナリングが活性化されていることが明らかになっているが、in vivoにおいて、実際に張力の負荷によってTGF-betaが活性化していることを免疫染色によって検出することが出来た。また、牽引側では、Smad1/5のリン酸化の亢進も検出され、Scxだけでなく骨芽細胞の成熟を制御しているOsterixも発現していることを見出した。ラットの培養歯根膜細胞を用いた実験の結果、Scxの発現はTGF-betaシグナリングの活性化によって促進し、Osterixの発現はBMPシグナリングの活性化によって促進されることが明らかになっている。さらに、レンチウイルスによってScxを過剰発現する培養歯根膜細胞では、Osterixの発現に影響を与えずに、BMP6による骨分化誘導に伴う石灰化が著明に抑制されていた。逆に、骨分化誘導条件下でsiRNAによってScxをノックダウンすると、骨形成のマーカー分子であるOsteocalcinの遺伝子発現が促進された。従って、Scxは骨形成が促進される牽引側において、骨形成を促進する転写因子であるOsterixと拮抗することによって、歯根膜の石灰化を抑制する役割を果たしていることが明らかになった。
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