研究課題/領域番号 |
25670872
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
仲野 和彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00379083)
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研究分担者 |
大川 玲奈 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (80437384)
仲 周平 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10589774)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ菌 / 口腔 / 定着 / ゲノム / ureA / 歯髄 / 線維芽細胞 / 感染根管 |
研究実績の概要 |
ヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、胃がんの原因菌となることが知られており、小児期に口腔を介して感染が成立すると考えられているものの、その詳細なメカニズムは明らかになっていない。H. pyloriの分子生物学的研究は近年急速に発展しており、2005 年までにはわずか3株の全ゲノムしか解読されていなかったのに対し、現在では約50株近くの全ゲノムデータが公開されている。これまでに、それらの豊富な遺伝情報を利用して、これら全てのH. pylori菌株に共通した遺伝子配列をureA遺伝子上に見つけ出し、その配列を利用した新たなPCR検出系を構築した。本年度は、歯髄処置を行う際に提供を受けた感染歯髄組織を60サンプルまで増やして検討を行なった。これらの感染歯髄組織から抽出した細菌DNAを用いて、上記のPCR検出系により検討すると、約12%の割合で陽性反応が認められた。一方で、H. pyloriの細菌DNAは40サンプルの唾液検体からは検出されなかったことから、H. pyloriが歯髄組織から検出されるメカニズムの一端として、歯髄組織へのH. pyloriの付着能を検討することにした。まず、矯正治療のために便宜抜髄を行なった正常歯髄組織から歯髄線維芽細胞を培養した。この歯髄線維芽細胞にH. pyloriの標準菌株であるATCC 700392株を感染させたところ、歯髄線維芽細胞への付着能が認められた。このことから、H. pyloriは歯髄線維芽細胞への付着能を利用して、感染根管に定着している可能性が示唆された。
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