研究課題/領域番号 |
25670877
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野中 和明 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90128067)
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研究分担者 |
山座 治義 九州大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (30336151)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 小児歯科学 / 乳歯幹細胞 |
研究概要 |
こどもは社会の宝であり神秘的可能性を秘めた存在である。小児歯科学のスローガン『乳歯は生命の源である』がその具体例のひとつである。少子化と高齢化の日本社会で高齢者医療に貢献できるライフサークルを網羅した新規医療の開拓が小児歯科医療の使命である。我々は永久歯との交換による『自然脱落直後の乳歯歯髄に多分化能や免疫制御能をもつ間葉系幹細胞が保持されている』ことを発表した。そこで本研究課題ではトランスレーショナルリサーチ推進の視点から、骨粗鬆症モデルマウスを用いて『乳歯幹細胞療法の老齢者骨粗鬆症への応用の可能性』を解き明かし、疾患予防と進行抑制をもたらす新薬開発の糸口を開拓する。 ヒト乳歯歯髄から通法により間葉系幹細胞(SHED)を単離して、フローサイトメトリーにて幹細胞表面マーカーの発現を検索し、in vitroでの分化誘導による多分化能を確認した。また、骨組織疾患の一つである骨形成不全症の患児の乳歯からもSHEDの単離に成功し、フローサイトメトリーにて幹細胞表面マーカーの発現を検索し、in vitroでの分化誘導による多分化能を確認した。多分化能について、骨への分化能は骨形成不全症由来のSHEDにおいては低下していることが確認された。このことから、骨形成不全症由来SHEDにおける骨への分化課程での細胞内シグナル伝達系の解析を行っている。また骨形成不全症モデルマウスにおけるSHED投与の骨形成への影響についても、マイクロCT等を用いて検索を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨組織関連疾患の解析が順調に進んでいることから、概ね進展している。今後は骨粗鬆症モデルマウスの開発とその解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroにおける骨形成不全症由来のSHEDの詳細な解析を継続する。また、骨形成不全モデルマウスのSHED等与時後の骨形成に関する詳細な解析を継続する。 骨粗鬆症モデルマウルの開発を行うとともに、以下の解析を行う。①骨の経時的変化:マイクロCTを用いて、SHED移植後の疾患モデルマウスにおける骨密度、皮質骨および骨梁経時的変化を検索する。②試料採取:SHED移植後4週間で、疾患モデルマウスより血清と大腿骨を採取し、大腿骨の一部は組織切片作成に供する。血清サンプルと大腿骨の一部は凍結保存し、骨形成と骨吸収に関連する分子の検索に活用する。③可溶性RANK ligand (sRANKL)とI型コラーゲンC-テロペプチド(CTX)の測定:骨吸収に関与する破骨細胞分化因子(sRANKL)と骨基質の分解産物で骨吸収量を反映する指標であるCTXの血清濃度をELISA法で測定する。④骨芽細胞および破骨細胞特異的因子、骨基質の発現解析:骨芽細胞特異的因子(Runk2, ALP, Osteocalcin)と破骨細胞特異的因子(Rank, カルシトニン受容体, カテプシンK)の遺伝子・タンパク質の発現量の変化、骨基質主成分のI型コラーゲン遺伝子・タンパク質の発現量の変化をRT-PCR法とウエスタンブロット法でそれぞれ検索する。⑤組織学的検索:骨組織切片の作製後、HE染色にて骨梁、骨髄、皮質骨の変化を検索する。また、TRAP染色にて破骨細胞数の変化を検索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
疾患モデルマウスの開発を次年度に繰り越したため、次年度使用額が生じた。 今年度に疾患モデルマウスの開発の計画を組み入れる。
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