研究課題/領域番号 |
25670879
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
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研究分担者 |
前田 綾 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10457666)
永山 邦宏 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60583458)
大牟禮 治人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00404484)
八木 孝和 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10346166)
植田 紘貴 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10583445)
上原 沢子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (50706257)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯学 / 咽頭・食道・胃の知覚 / 胃食道逆流 / 咬筋 / 唾液 / 迷走神経 / 不正咬合 |
研究概要 |
平成25年度の研究計画では、原因の特定出来ない開咬や叢生を呈する成長期の患者を対象として、咽頭・食道・胃の知覚と機能等の検査を行い、これらの関連性と発現メカニズムを明らかにすることが臨床研究の概要であった。しかし、成長期の患者に咽頭・食道・胃の知覚と機能等の検査を行うことが難しかったため、成人を対象とした実験を行うことにした。成人開咬患者は、その他の不正咬合患者と比較して、QUESTおよびFSSGの値は有意に高かった。開咬患者は、咀嚼機能が著しく低下していると予想されることから、咀嚼機能と上部消化管疾患の関連が示唆された。また、不正咬合を呈さない成人を対象とし、口腔と上部消化管の機能的関連性を調査する実験を行った。具体的には、覚醒時の胃食道酸逆流に着目し、食道内への酸刺激によって覚醒時に咬筋筋活動が誘発されるという仮説を検証した。健康な男性15名に、0.1N塩酸 (pH1.2、以下酸)を注入した介入実験を行い、液体の注入には経鼻カテーテルを用いた。咬筋筋活動は表面筋電図を用いて評価し、統計解析にはデータ分布によりt検定もしくはWilcoxon検定を用いた。本研究の結果、食道内への酸注入は覚醒時における咬筋筋活動を増加させることが示され、口腔と上部消化管の機能的関連性が示唆された。本年度の動物実験の研究計画は、内臓感覚支配の迷走神経を切断し、咀嚼筋活動の低下と咀嚼筋への影響を検証することであった。咀嚼筋活動は、唾液分泌や嚥下と関連することから、以下の実験を先行して行った。Wistar系雄性ラットを用いて実験を行い、ケタミンおよびキシラジンで全身麻酔後、脳定位装置を用いて第四脳室にカニューレを設置し、電気刺激(5V、10秒間)を用いて迷走神経を刺激し、刺激前後の唾液分泌量を圧力トランデューサーで計測した。迷走神経刺激により唾液分泌は誘発されることが示され、現在、咀嚼筋活動について実験を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究については、成長期の患者を対象としていたが、成長期の患者に咽頭・食道・胃の知覚と機能等の検査を行うことが難しかったため、成人を対象とした研究を行った。研究の実現が可能な対象に変更して研究を遂行し、成果をあげることができた。動物実験に関しては、概ね順調に遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究については、成長期の不正咬合患者を対象とすることが困難である場合は、被験者を成人不正咬合患者とし、H26年度以降の研究計画が円滑に進行するよう改善する。不正咬合患者(開咬患者など)の咽頭・食道・胃の知覚や機能等を明らかにする研究を行う。具体的には、開咬および叢生患者20名に対して質問紙調査(QUEST問診票とFスケール)を継続して行い、口腔内診査、顎口腔機能の検査、内視鏡検査、喉頭運動・舌骨上筋の筋電図検査、咽頭部・食道内のpH動態の検査、食道感受性試験(知覚過敏の診断)などを実施する。また消化器内科的治療が、不正咬合の改善に役立つのかについて検証する。動物実験では、その他にも咽頭・食道・胃の迷走神経切断が咀嚼筋の活動の低下や発育等に及ぼす影響の解明を行うためにWistar系雄性ラットの咽頭食道胃知覚低下モデルと未処置(対照群)計50匹を対象として、咀嚼筋、胃電図および心電図の記録や顎下腺導管へのカニュレーションおよび迷走神経切断、唾液分泌量および胃電図や筋電図の測定、実験的に切断した迷走神経の中枢側を刺激し、顎口腔機能の回復が見られるかどうかの検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の実験では、先行研究で使用していた既存の機器や解析装置を用いたため、使用額が少なかった。 次年度は、臨床研究では、カテーテルなどの機材や消化器間運動に関わる薬剤の投与など消耗品を購入する予定であり、これに使用する。動物実験においては、Wistar 系ラットなどの実験動物の購入や、刺激実験に関わる機材や消耗品に使用する。また、学会発表や論文投稿を行い、研究成果を社会に発信するために使用する予定である。
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