研究課題/領域番号 |
25670882
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山崎 和久 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00182478)
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研究分担者 |
本田 朋之 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30447635)
中村 昇太 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (90432434)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ペリオドンタルメディスン / Porphyromonas gingivalis / 腸内細菌 / 内毒素血症 |
研究概要 |
多くの観察研究により歯周疾患と全身疾患の関連が明らかにされているものの、因果関係を含む詳細については依然不明な点が多々残されている。本研究ではこの飲み込まれた口腔細菌により腸内細菌叢が撹乱され、メタボリックシンドロームと関連する変化が起こるのではないかという仮説のもと解析を行い、因果関係の解明を目指す。 本年度は、6 週齢のC57BL/6 マウスにP. gingivalis の生菌を投与し、実験的歯周炎モデルを作成した。感染終了後糖負荷試験、インスリン負荷試験を行った。また、回腸より内要物を取り出し、16SrDNA に対するPCR を行ったのち、PCR 産物を次世代シークエンサー(にてハイスループットに配列決定し、得られた配列データをもとに、相同性解析を行い 各読み取り配列の由来生物種を同定した。さらに脂肪組織、肝臓における遺伝子発現解析を行った。 その結果、ヒト歯周病原細菌であるP. gingivalis投与により耐糖能異常が生じすることが明らかになった。さらにこの変化は脂肪組織、肝臓における炎症反応の誘導と関連していることが明らかになった。回腸由来内容物の解析から腸内細菌叢においてBacteroidesの比率が上昇し、Firmicutesの比率が低下する変化が生じていたが、これは投与したP. gingivalisが腸内に定着・増殖して起こったものではないことが明らかになった。小腸においてタイトジャンクションタンパクの遺伝子発現が低下し、血中の内毒素量が増加していたことから、P. ginigivalis投与により腸管の透過性が亢進し、その結果生じる内毒素血症により耐糖能異常が誘導されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度に予定していた当初計画についてはほぼ全て施行し、期待以上の結果が得られた。また、平成26年度予定の脂肪組織、肝臓の遺伝子発現解析も25年度に完了し、Scientific Reports誌に論文が受理された。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に明らかになった結果がP. gingivalisという歯周病原細菌に特異的な変化かどうかを明らかにするため、その他の歯周病原細菌(Prevotella intermedia)についても同様の実験を行うとともに、in vitroにおいてこれら細菌の腸上皮細胞に及ぼす影響を解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験計画の見直しによりマウスの購入・飼育費用が抑えられたこと、並びに発表予定していた国際学会を変更し、25年度の外国旅費の支出が無くなったため。 26年度予定の学会に加えて、研究打ち合わせのために海外渡航を予定している。また、追加の実験のためのマウス購入費用に充てる。
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