研究課題/領域番号 |
25670883
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70239490)
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研究分担者 |
山口 佳則 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20386634)
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60452447)
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90570292)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ラマン分光法 / 歯根膜細胞 / 極微小石灰化ノジュール / 非侵襲性観察 |
研究概要 |
本研究課題では、非侵襲・非接触で微量物質の評価が行えるラマン分光法を培養細胞に適用し、硬組織形成細胞への分化過程をsingle cellレベルにて解析を行っている。平成25年度の研究成果について以下に報告する。 高い硬組織形成能を有することが知られているマウス骨芽細胞株KUSA-A1細胞をベータグリセロリン酸およびアスコルビン酸を含有した石灰化誘導培地にて培養し、細胞表面に集積するハイドロキシアパタイト(HA)をラマン分光法を用いて経時的かつ非侵襲に観察できるか否かを検討した。KUSA-A1細胞を石灰化誘導培地にて培養すると、培養3日後にはアリザリンレッド染色陽性像が観察されたため、誘導開始直後から3日後までを経時的にラマン分光法にて観察し、生細胞上に集積するHAの非侵襲的な検出を試みた。予備実験の結果から、波数958 cm-1にてHAを特異的に検出できることを発見したため、生細胞における同ラマンスペクトルを経時的に解析すると、誘導開始直後から培養1日目まではシグナルが検出されなかったものの、培養2日目から培養3日目において958 cm-1にて増幅するシグナルを検出することができた。このことは、経時的かつ非侵襲的に骨芽細胞の石灰化過程を観察することに成功したことを示唆している。 さらに、培養細胞のラマン分光法にて検出されたHA像とアリザリンレッド染色像を同一部位にて画像解析すると、ラマン分光法によるイメージング部位はアリザリンレッド染色に比べ、より特異的にHAを検出していることが明らかとなった。 今後は、歯根膜細胞等のheterogeneousな細胞集団の石灰化過程を同様に解析するとともに、HA以外の石灰化関連分子の検出を試みることにより、硬組織形成細胞への分化過程における経時的分子情報の基盤確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨芽細胞の石灰化過程をラマン分光法にて経時的かつ非侵襲に観察する実験系が確立された。歯根膜細胞を用いた観察を開始する準備が整った状況にあり、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞を用いて構築したラマン分光法の実験手法にて、歯根膜細胞の石灰化過程を観察するとともに、これまでラマン分光法で検出することが可能であると報告されているCytochrome Cやレチノイン酸の同時検出を試みる。また、ラマン分光法での検出手法について報告のない分子についても検出条件の検索から行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を遂行するにあたり、必要に応じて試薬やプラスチック器具等の消耗品購入のために研究費を執行しており、H25年度は当初の見込み額と執行額が異なる結果となった。 研究計画に変更はなく、H26年度へ繰り越した研究費も含めて、当初の予定通り研究費を執行し、研究を進めていく。
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