研究課題/領域番号 |
25670888
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
松下 健二 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 部長 (90253898)
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研究分担者 |
磯田 竜太朗 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 流動研究員 (40456942)
萩原 真 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 流動研究員 (30546099)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 一酸化窒素 / s-ニトロシル化 / マクロファージ / ファゴサイトーシス / Rab5 / 細菌感染 |
研究概要 |
酸化により転写後修飾されたタンパク質が、生活習慣病、慢性炎症性疾患、感染症等の病態形成に関与することが示唆されているが、歯周病の病態形成におけるそれらの分子の動態や細胞生物学的役割については不明である。加えて、タンパク質の酸化修飾変化を定量的に解析する方法も十分確立されていない。本研究では、アダクトミクスを応用した網羅的酸化修飾タンパク質の解析法を開発するとともに、その方法を用いて歯周病病態形成における酸化的翻訳後修飾タンパク質の役割を検討する。本年度は、マクロファージのファゴサイトーシス関連因子の酸化修飾の有無とその影響について、in vitroの実験系で検討した。 まず、NOがファゴサイトーシスに関与するか解析を行った結果、NOドナーであるGSNOで処理した細胞ではファゴサイトーシスが促進し、一方、NO阻害剤であるL-NAMEで処理した細胞では、ファゴサイトーシスが低下した。また、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)をトランスフェクションした細胞では、ファゴサイトーシスが促進すると共に、Rab5とiNOSが共免疫沈降した。NOとRab5の活性との関連性を調べた結果、NO処理細胞ではRab5の活性が上昇していた。次に、NOがRab5のS-ニトロシル化修飾の有無についてビオチンスイッチ法で検討した結果、活性型Rab5変異体Q79LがS-ニトロシル化されたが、不活性型変異体Rab5S34Nはs-ニトロシル化されなかった。 以上のことより、RAW 264細胞において一酸化窒素がRab5をs-ニトロシル化することにより同分子が活性化され、ファゴサイトーシスが促進することが明らかになった。現在、培養細胞系並びにin vivoの系で詳細に検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マクロファージ系細胞におけるNO修飾分子を1つ同定することができた。また、その修飾の生物学的意義についてもその一端を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Rab5の酸化的修飾の意義について、さらに詳細に検討するとともに歯周病病病態との関連性についても検討して行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度予定していたアダクトミクス解析が機器等の納品遅れのために実施できなかった。そのため、その費用として当てていた638,362円を翌年度に繰り越すことになった。 本年度夏までに使用機器等の整備が行なわれ、遅れていた解析を実施できる予定である。その際、その費用として繰り越した638,362円を使用する予定である。
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