研究課題
酸化により転写後修飾されたタンパク質が、生活習慣病、慢性炎症性疾患、感染症等の病態形成に関与することが示唆されているが、歯周病の病態形成におけるそれらの分子の動態や細胞生物学的役割については不明である。加えて、タンパク質の酸化修飾変化を定量的に解析する方法も十分確立されていない。本研究では、アダクトミクスを応用した網羅的酸化修飾タンパク質の解析法を開発するとともに、その方法を用いて歯周病病態形成における酸化的翻訳後修飾タンパク質の役割を検討した。マクロファージ様細胞株RAW264細胞を用い、同細胞においてs-ニトロシル化修飾を受けるタンパク質を網羅的に解析した。その結果、低分子量Gタンパクの一種であるRab5がニトロシル化修飾を受けることが明らかになった。同細胞に、NOドナーであるGSNOを添加した結果、RAW264細胞によるファゴサイトーシスが促進することが明らかとなった。また、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)とRab5が結合し、細胞内で共局在することが明らかになった。さらに、NOはRab5をs-ニトロシル化することで同分子を活性化し、細菌菌体のファゴサイトーシスを活性することが示唆された。以上の結果より、一酸化窒素が、Rab5を介してファゴサイトーシスを調節し、マクロファージなどにおける細菌排除能力を上昇させている可能性が示唆された。現在、上記の結果を踏まえて、細菌感染マウスモデルを用いて個体レベルでの同分子のS-ニトロシル化の意義を検討している。
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