研究概要 |
1.徳島県下での調査:徳島県内の市町村において母子健康手帳の交付を受けた妊婦を対象に,口腔保健に関する知識,自覚症状,生活習慣などに関する無記名式のアンケート調査を実施した。有効回答が得られた1877件のデータ分析を行った。歯周病に関する知識は齲蝕と比較して低く,妊娠期の歯周病による胎児への影響を知っている者は半数にも満たなかった。また,14.6%の喫煙者のうち妊娠が判明して禁煙した者は10.4%にとどまり,定期歯科健診の受診状況も全国調査の数値と比較して低い結果であった。 2.徳島大学病院での調査:徳島大学病院の妊婦歯科健診受診者の歯周状態と低体重児出産との関連性を調べた。年齢のバイアスを考慮し,健診時20~34歳の者で,出産時の状況が診療録により確認できた69名を対象に分析を行った。妊婦歯科健診を受けた69 名のうち,4 ㎜以上の歯周ポケットを有する者は22 名(31.9%)であった。これを同年代の女性と比較したところ,CPI=3 以上の者の全体に占める割合は17.0%であり,本研究対象妊婦では高い値が示された。一方,2500g未満の低体重児出産の者は10 名であり,正常出産との2つの群に分けてχ2 検定を行った結果,CPI=3 以上の群では低体重児出産の者が有意に多かった(p<0.05)。さらに口腔保健等に関する習慣のバイアスを考慮するため,ロジスティック回帰分析を行った結果,4 ㎜以上の歯周ポケットを有する状態が低体重児出産に有意に関連していた(OR=5.2, 95%CI:1.15~23.5, p<0.05)。 3.産科モデル医院での口腔保健介入:産科医院にて歯科医師および歯科衛生士による20分程度の講演形式によるプレママ教室を計画した。プレママ教室に参加した6産科医院の妊婦87名を対象に,参加理由,講演内容の評価,保健行動の実践,定期歯科健康診査の受診意識などに関する事後のアンケート調査を行っており、現在分析中である。
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