研究課題
1.徳島大学病院での観察研究:妊娠期の歯周状態と低体重児出産との関連性について調査した。徳島大学病院の妊婦歯科健康診査受診妊婦190名のうち,年齢バイアスの考慮から対象年齢を25~34歳とし,出産時の状況が確認できない者,多胎妊娠および喫煙中の者を除外した85名について,歯周状態と妊娠期の生活習慣や口腔保健に関する知識との関連性,および低体重児出産との関連性について分析を行った。口腔内に気になる症状があると答えた者は61名(71.8%),CPI = 3以上の者(4~5 mmの歯周ポケットを有する者)は29名(34.1%)でCPI = 4の該当者はなかった。二項ロジスティック回帰分析の結果,低体重児出産との有意な関連項目として「CPI = 3」(OR = 6.62,p = 0.02)および「口腔内の気になる症状」(OR = 5.67,p = 0.03)が認められた。以上の結果より,わが国においても,妊婦の歯周状態が低体重児出産のリスクとして関連することが確認できた。本研究成果は口腔衛生学会雑誌に掲載予定である。2.徳島県N市での調査研究:昨年度と同様に、徳島県N市での無料妊婦歯科健康診査事業参加者を対象に,CPIを含めた口腔内診査および口腔内症状や生活習慣に関するアンケート調査を実施した。その結果,対象妊婦161名のうち、定期的に歯科健康診査を受けている者は27.8%であった。分析から、定期的な歯科健康診査受診者は未受診者と比較して「歯や口の状態」,「ブラッシング指導を受けた経験」,「ブラッシング時の出血」,「歯間ブラシの使用」は有意に良好な状態や良好な生活習慣を有していた(カイ二乗検定,p<0.05)。また、「CPI=0(健康な歯肉の状態)」,「良好な口腔衛生状態」の者が有意に多い傾向にあった(p<0.05)。結論として妊娠期の歯科口腔保健推進には、定期的な歯科健康診査の受診勧奨が必要であると考えられた。
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口腔衛生会誌
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