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2014 年度 実施状況報告書

歯科医師のうつ病対策おける情報提供システムの確立

研究課題

研究課題/領域番号 25670900
研究機関鶴見大学

研究代表者

斎藤 一郎  鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)

研究分担者 坂野 雄二  北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (10134339)
豊福 明  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10258551)
松島 英介  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50242186)
安彦 善裕  北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードうつ病 / ストレス / ドライマウス / 自殺予防 / 抑うつ状態 / 歯科医療 / 歯科心身症
研究実績の概要

うつ病の対策には,早期発見・早期治療が効果的であるにも関わらず、うつ病の患者は自ら精神科や心療内科を受診しない傾向にある。多くは,内科等を受診し,身体症状を訴えるため,うつ病が見逃されることも少なくない。しかしながら,自ら抑うつ症状を訴えていない患者でも,注意深く話を聞いていくと,抑うつ症状の発見につながることが示されている。抑うつ症状の見逃しを少なくし,早期対応のための技術を教育する試みが医師を中心に続けられており、うつ状態の方を発見する確率を高めていくために,このような個々の医療者のうつ病を発見する力を向上させることは不可欠である。現在,うつ病の患者を発見するために,医師だけでなく,薬剤師など異なる職種が関わる取り組みが始まっている理由がそこにある。
ドライマウスが原因で医療機関を受診している患者の中にも,うつ病の症状に苦しんでいる方がおり、そのため,この研究課題では、ドライマウスに関わる医療者もうつ病発見の取り組みの一端を担えるのではないかと考え、そのプラットホーム作りを行っている。
うつ病の患者さんを発見するためには,抑うつ症状についての知識が不可欠であり、ドライマウスにかかわる医療者がそうした知識を有しているか確かめるために,本研究課題ではドライマウス研究会の会員を対象に調査を行った。調査の中では,①抑うつ症状を正確に理解しているか,②不安症状と抑うつ症状を区別できるか,という2点に注目し、研究会の会員へドライマウス通信を通じて、うつ病発見に向けてのドライマウスにかかわる医療者が果たせる可能性と今後の課題について報告してきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

うつ病の診断の際にこれらの症状を有していることがどの程度重要であるかの調査を行った結果、以下の傾向が得られた。
9つの症状の中でも,「抑うつ気分」と「興味または喜びの喪失」はうつ病の中核症状と言われ、うつ病の患者では,これら2つの症状がどちらも認められる可能性が非常に高いと報告されている。これらの症状について,90%以上のドライマウスにかかわる医療者がうつ病の診断において重要であると考えられた。このことから,うつ病のスクリーニングのために必要な知識をドライマウスにかかわる医療者の多くが有していると想定される。
一方で,9つの症状の中で重要性が高く評価されていない症状も確認され、「不眠/睡眠過多」,「体重減少/増加,食欲減退/増加」,「思考力や集中力の減退,決断困難」,「精神運動性の焦燥,制止」の症状は,3分の1から4分の1程度の方にとって,うつ病の診断で重要な症状とはなっていなかった。うつ病の症状は多岐にわたり、中核症状のみに注目するだけでも相当数の患者の発見につながる可能性はある。このことから、うつ病の症状に幅広く注目することができれば,より正確に患者さんを発見することが可能となる。この中でも「不眠/睡眠過多」は,多くのうつ病患者が訴える症状であり、また,睡眠の問題を抱えた患者はうつ病を発症しやすいといわれている。睡眠の問題に着目することで,その時点でうつ病に悩んでいる患者だけでなく,うつ病を発症するリスクのある患者の発見も可能になると思われ、今後も同様な解析を進める予定である。

今後の研究の推進方策

うつ病の患者は,抑うつ症状のみに苦しんでいることはそれほど多くなく、身体疾患からくる体の不調に苦しんでいる場合もあれば,不安やストレスなど抑うつ症状以外の精神症状を強く感じている場合もある。うつ病患者にみられやすい症状の1つが不安症状であり、抑うつ症状と同様に,うつ病の診断の際にこれらの不安症状を有していることがどの程度重要であるかを今後調査すると共に、今回の解析結果からドライマウスにかかわる半数以上の医療者がうつ病の診断に重要であると評価していた。不安症状が認められる患者のすべてがうつ病に当てはまるわけではなく,半数以上には抑うつ症状が認められないといわれている。うつ病の可能性を過大に評価してしまうことを防ぐために,抑うつ症状と不安症状を区別できるようにしていく必要がある。
また,不安症状は患者の訴えが強くはっきりしているため,目立ちやすい症状である。それに比べると,抑うつ症状は目立ちにくいため,不安症状に隠れてしまう可能性がある。不安症状の背後にあるかもしれない抑うつ症状を見逃さないように注意する必要があり、これらの点を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

さまざまな患者さんの訴えから抑うつ症状とそれ以外の訴えを区別していくことは簡単な作業では無いため、今後はさらに詳細な統計解析を行い今まで得られたデータの分析を行う予定である。

次年度使用額の使用計画

研究分担者と共に次年度に詳細を検討する計画は、本研究課題であるドライマウス研究会の会員を対象とした調査を基に、①抑うつ症状を正確に理解しているか,②不安症状と抑うつ症状を区別できるか,という2点に注目し、研究会の会員情報を詳細に分析するために使用額が生じこの解析でうつ病発見に向けてのドライマウスにかかわる医療者が果たせる可能性について検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The effect of cognitive appraisal for stressors on the oral health-related QOL of dry mouth patients.2014

    • 著者名/発表者名
      Hirofumi Matsuoka, Itsuo Chiba, Yuji Sakano, Ichiro Saito, Yoshihiro Abiko.
    • 雑誌名

      Biopsychosocial Medicine

      巻: 8 ページ: 24-28

    • DOI

      10.1186/1751-0759-8-24

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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