本研究の目的は、①ヒーリングタッチによる生理的・主観的評価、②各ヒーラーによるヒーリングタッチの反応の比較、③ヒーラーとヒーリーの生理的・主観的反応の相互作用、④ヒーリングタッチは意図して慈しみの心で行うことにより効果が出るという仮説を検証し、ヒーリングタッチの効果を明らかにすることを目的とした。 被験者は、ヒーリー(ヒーリングタッチを受ける者)22人とヒーラー(ヒーリングタッチを実施する者)4人であり、18歳から65歳未満の成人とした。 生理的評価として、唾液アミラーゼ、心拍変動、血圧、脳波を測定した。脳波については、ヒーリングタッチによる動作の影響で十分な結果が得られなかった。他の指標に関しては、問題となるような大きな変化はみられなかった。主観的評価として、ヒーリングタッチを受けた身体的・心理的な反応を質問紙で確認した。主観的反応は質的にカテゴリー化した。主なカテゴリーは「眠くなる」「リラックスする」「身体の感覚が研ぎ澄まされる」「活力が増しスッキリする」「心地よい安心感」などであった。ヒーラーの評価については、ヒーリングタッチの実践者として経験と能力のある者の参加が4名と少なく各々を比較する評価まではいたらなかったが、傾向を確認することができた。 今回の研究で、ヒーリングタッチは生理的反応に大きな変化はみられず、主観的には様々なリラクセーション反応をもたらすことが明らかになった。今後、患者にとって安全で安楽な癒しの看護技術となるよう、研究を継続しプロトコールの作成等に繋げていく。
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