研究課題/領域番号 |
25670910
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
牧本 清子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80262559)
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研究分担者 |
周藤 俊治 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30420748)
遠藤 淑美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50279832)
山川 みやえ 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80403012)
矢山 壮 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (30584552)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インシデントレポート / 精神科 / 転倒 / 誤薬 / 離院 / 異食 / 窒息 |
研究実績の概要 |
本年度は、過去13年間のインシデントの種類別の解析を行なった。転倒、誤薬、患者の暴力、異食、離院、誤嚥、自殺企図ごとに記述統計を行いインシデントの種類ごとに記述統計で分析した。患者の暴力は対患者、対スタッフに分けて分析し、発達障害の患者によるインシデントの割合が、全入院患者における発達障害の患者の割合より多く、対スタッフに対する暴力も多いことが明らかになった。異食に関しては、疾患の種類による異食の内容や発生の時間帯が異なり、具体的な予防対策の検討材料を提供することができた。「異食」の発生件数は150件で、診断別では「症状性を含む器質性精神障害」が最も多く73件(49%)で、異食の内容はオムツが最も多かった。発生時間は食事前や食事中が多く、重症度の低いものが多かった。次に「統合失調症、統合失調型感情障害および妄想性障害」が28件(19%)で、異食の内容は洗濯用洗剤や石鹸が最も多かった。発生時間は夕方以降に多かく、重症度の高いものが多かった。「窒息」の発生件数は114件であった。60歳以上の患者は52件であった。診断別では「症状性を含む器質性精神障害」が42%、「統合失調症、統合失調型感情障害および妄想性障害」が34%であった。68%のインシデントが食事中・食後に発生した。 これらのインシデントの解析結果に基づき、国内の学会発表を2件、国外の学会発表を1件行ない、論文投稿の準備を進めている。転倒、離院、誤嚥、自殺企図に関しては、2015年度の国際学会で発表予定である。インシデントの記述内容について解析するため、使用されている単語の辞書を作成し、ネットワーク分析を予備的に実施した。今後、インシデントの種類ごとに、ネットワーク分析を実施し、インシデントの要因を探索していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インシデントレポートの記述の表現のばらつきが多いため、用語のチェックと統一にかなりの時間を費やしている。しかし、インシデンとの種類ごとに担当を決め、データ解析をすすめており、記述統計的解析は終了している。ネットワーク分析がやや遅れているが、期間内にネットワーク分析を終了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、インシデントの種類ごとに記述統計とネットワーク分析を実施し、インシデンとの要因について検討する予定である。現在、再度、用語のばらつきをチェックしており、5月からネットワーク分析を開始する予定である。具体的には、インシデントの発生した病棟別、時間帯別、疾患別などとインシデントの要因となる記述の特長抽出する。転倒、誤薬、患者の暴力、異食、離院、誤嚥、自殺企図の主担当者が学会発表と論文執筆を行なっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
インシデントレポートの記述の言語のばらつきが大きいことやタイプ間違いなどがあり、表現の統一、辞書の作成に予定外の時間が必要となった。例えば看護師は、看護師、Ns,看護者、看護し、Ns,看護婦、看護職員、看護士などと表記されている。それぞれ、言葉の度数分布を作成し、単語表記を標準化するのに時間がかかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年は、海外での学会発表を4件、英語論文執筆を3本企画しており、海外出張2件、国内学会発表1件、英語論文執筆の英文校正に30万を使用する予定である。
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