日本看護学教育学会における日本放射線看護学会企画の交流集会で、昨年度の学生授業調査を報告し、意見交換を行った。放射線を活用した医療機器の普及に伴い、看護職に最小限求める知識として、放射線に関する基本的知識・放射線診療に伴う効果や影響の知識・放射線に曝露される人や人々への看護活動方法などの必要性を確認した。 次に、欧州委員会(EC)が医療従事者の放射線教育目的を提示していることから、原子力防御評価研究所(CEPN)でその趣旨と現状について説明を受け、看護教育が学士レベル認可ではあるが原子力部門産業部門で世界屈指のフランスで最初の看護学校であるサルペトリエール看護学校と、非原子力立国であるがその目的をカリキュラムに明示しているオーストリアのグラーツ大学看護学部を訪ね、放射線看護教育の現状を確認した。CEPNでは、放射線医療直接従事者に卒後研修を促しているが、間接的業務の看護師を含めておらず、看護師には放射線の基礎的知識よりも放射線に対峙した人への支援を求めていることを確認した。そのためフランスでは、日本同様に大学化に伴う教育時間削減と、徹底した分業化の影響を受けて、以前には30時間あった放射線看護学の科目設定は消滅し、放射線の扱いは基礎医学領域に組まれ、放射線看護は臨床看護領域に1時間程度の僅かな時間で行われていた。オーストリアでは、2単位の時間でECが示した防護3原則を中心に内容が組まれていたが、放射線そのものの基礎知識はフランス同様に基礎医学領域に組まれていた。 これまでの確認内容を踏まえて、昨年度の教育内容を検討し、講義7回のみのコースと、講義4回と半日の見学を伴うコースを行い、昨年度同様の調査を行った。その結果、事前の個人課題とそれを基にしたグループ学習を踏まえた演習1回に視聴覚教材を多用した講義4回と半日の見学で構成する15時間1単位の科目化可能な教育方法案を作成した。
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