研究課題/領域番号 |
25670915
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
加瀬田 暢子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40253760)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | HIV/AIDS / セクシュアルヘルス支援 / 教育プログラム / リフレクション |
研究実績の概要 |
本課題は、HIV/AIDS患者(以下、HIV陽性者)へのセクシュアルヘルス支援に対する困難感を抱く看護師を対象とし、リフレクションの手法を用いた教育プログラムの開発・評価を目的としている。平成26年度は、前年度に引き続き、国内外の文献検討、日本看護研究学会学術集会での情報収集、連携研究者らとの打ち合わせ会議を行った。また、「セクシュアルヘルス支援困難感尺度」作成に必要な調査を計画し、研究倫理審査を受け、承認を得た後、調査を実施した。この調査は日本エイズ学会認定のHIV/AIDS指導看護師ならびにHIV/AIDS専門看護師を対象とし、フォーカスグループインタビューの手法を用いた面接調査である。調査で得られたデータを質的に分析したところ、「セックスが患者の存在意義に関わることで生じる介入のしづらさ」が挙げられ、「MSM(Men who have sex with men)である患者の性行動の多様性」や、「性が異なることでの共感しづらさ」が影響しており、また「性行動に関する患者の自己申告の内容と性行為感染症に罹患する実態との矛盾」を感じていたことが明らかとなった。これらの困難感を抱えたまま、「患者にとって触れられたくないことへの介入による受診中断への恐れ」から、それ以上の介入を踏みとどまらせている現状が浮き彫りになった。また、HIVのコントロールができていることから「患者自身のアンセーファーセックスへの危機感の薄さ」も感じており、「患者の行動変容につながらないことへの不満足感」が存在していることが示された。この調査により、HIV/AIDS看護の初心者への追加調査の必要性も見えてきたため、現在は研究倫理審査依頼の準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画に挙げていなかった「セクシュアルヘルス支援困難感尺度」作成に向けた調査の実施ならびに分析に時間がかかったため、遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、前述した「セクシュアルへルス支援困難尺度」作成に関して、HIV/AIDS看護初心者への追加調査を実施し、完成させる。当初予定していた現状把握のための調査から教育的介入の効果判定まで、一連の調査や介入の評価にはこの尺度を活用する。この他の研究計画については、時期の遅れは予測されるが、予定通り行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
先述した研究計画の修正(調査の追加)により、調査の実施が遅れたことで次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成26年度の助成金は、①「セクシュアルへルス支援困難感尺度」作成のための追加調査、②HIV陽性者に対するセクシュアルヘルス支援の現状把握のための調査、③セクシュアルヘルス支援に向けた教育プログラム作成で執行する予定である。
|