研究課題/領域番号 |
25670917
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
木森 佳子 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (30571476)
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研究分担者 |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
中山 和也 金沢大学, 保健学系, 准教授 (80242543)
宮地 利明 金沢大学, 保健学系, 教授 (80324086)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 静脈内穿刺 / 静脈可視化装置 |
研究概要 |
本研究の目的は、危険性の高い末梢静脈穿刺を安全・確実に実施するために、目視困難な静脈を可視化する技術開発である。申請者らはこれまで光を透視原理に用い、臨床技術に適応する基本透視システムを明らかにした。だが、未だ十分とはいえない可視化性能について、①静脈の透視技術、②画像処理技術の課題を解決することを研究計画とする。この技術は、申請者らが確立した目視困難静脈の計測手法と評価方法を用いて性能を評価する。 ①静脈透視技術の設計 目視困難静脈の90%を可視化するため、深層静脈の(約5-7mm)静脈透視技術方法を確立する。申請者らは、静脈の深さに適応する光の波長域については実験より選択できている。今回は、静脈の可視性に影響すると考えられる入射光(光源)と受光(カメラ)の位置関係について比較検討する。ヘモグロビンの吸光を受けた散乱光はかなり弱い。そのため入射光の量を増加する必要があるが、ハレーションの発生や周囲組織の散乱光も強くなり、見える静脈が見えなくなる可能性がある。これについては入射光の増加について、光源のLEDの個数だけでなく、パルス駆動、偏光フィルターの設置、角度の適合性を検討する。 ②画像処理プログラムの開発 透視画像の解析・処理によって静脈の深さ情報を表示する。これに向け、静脈の深さ表示が可能な理論の適合を検討する。申請者らは、目視困難な静脈の深層静脈(約5-7mm)では画像処理が不可欠であることを、これまでの実験結果から確信している。利用可能な理論として差分解析法、ハエトリグモの主眼の奥行き知覚メカニズム(Nagata 2012)を提案している。差分解析法は予備的に検討しているが、実用性は低かった。その理由は、幾つかの光波長で撮像した画像の情報量に差異が少なかったことによる。これは深層静脈を可視化することで実用性が高まると考えられる。①とともに理論の適合性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①目視困難静脈が走行するのは深さ7mm以内だが、現在は4-5mm程度の可視化性能となっている。深さ5-7mmの静脈を可視化するために偏光フィルターを用いて過剰反射を回避しながら光量を増加させること、光源の波長域を狭帯域にするためのフィルターを使用し検証中である。だが偏光フィルターに反射型偏光フィルターは実用性が低く使用できないことがわかった。 ②画像処理技術は、近赤外光透視画像の静脈に強調処理を加え、さらに静脈深度を反映した静脈画像へと加工し静脈像を可視化できることとを目指し、ノイズ処理も包含しながら人の眼では確認しにくい近赤外光透視画像を静脈がみえる画像へと検討し続けている。さらに穿刺部位から目を離さずに静脈像を観察しながらハンズフリーで穿刺可能であることも臨床では期待されている。そのため可視光画像と近赤外光画像をオーバーレイする手法を用い、メガネに表示させるシステムを構築した。オーバーレイは見えやすさだけでなく、静脈深度の観察にも影響すると考えられるため有効である。
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今後の研究の推進方策 |
①適切な近赤外光に感度のある吸収型偏光フィルターを用いて偏光角度について最適値を検討する。さらに光源の波長域を狭帯にするためフィルターの追加使用の必要性がある。具体的にはロングパス、ショートパスフィルターである。それを統合して光源と受光の位置関係を検討する。 ②現在の画像処理にノイズ処理がどこまで可視化静脈に影響せずに処理できるか検討する。深層静脈の可視化が可能になれば画像処理の変更が必要か検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
最適な偏光フィルターが未だなく透視技術進展のための実験機の作成、評価ができていない。画像処理技術の確立はオーバーレイした画像をメガネに表示させることとしているが、このメガネについて穿刺部位と静脈像を同時に観察するためどのようなメガネが適切か検討中である。 偏光フィルターの検索と実験により実験機を作成し費用を使用する。材料費とアートワーク費の使用分として適切である。 メガネはヘッドマウントディスプレイが必然的に必要となるため購入する。
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