研究課題
本研究の目的は危険性の高い末梢静脈穿刺を安全・確実に実施するために、目視困難な静脈を可視化する技術開発である。静脈を可視化する原理に近赤外光を用い、①静脈の透視技術、②画像処理技術の課題解決に取り組んだ。静脈の透視技術について、目視困難な深層静脈(皮下5-7mm)の可視化が目標である。十分に検討されていなかった光源と皮膚との距離、角度、偏光フィルターの設置と角度について違いがあるかを検討した。これらは距離や角度によって静脈の見え方が異なることがわかり、距離は約30cm、光源と皮膚は垂直、偏光フィルターの角度は45度が最適値付近であることがわかった。しかし、課題として、静脈の見えやすさに違いはあるものの静脈の深さまでの違いには及ばなかった。また臨床適応性を包含してはいない。例えば病室には太陽光の影響を受ける可能性がある。深さに影響する光波長域は先行研究等から選択していたが、詳細・厳密には検討されていない。今後の課題である。画像処理技術は、コントラストの強調技術により高齢者の目視困難静脈を約90%可視化した。また、臨床の意見を基に現在の穿刺技術を妨げない有用な画像獲得に向け、可視光画像と近赤外光画像をオーバーレイする手法を開発した。画像処理技術の進展により目視困難静脈の90%を可視化したものの、残りの10%は本当に臨床ニーズの高い、目視困難な深層静脈と考えられる。深層静脈を可視化するには画像処理だけでは限界がある。未だ十分詳細が検討されず最適値がわかっていない光波長域の課題解決が必要である。
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International Journal of Nursing Practice
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