研究課題
本研究の目的は、サーモグラフィの手法を基盤にして、看護ケアのための体温管理と感染症の発熱を検出するガイドラインを確立することである。最終年度は、健常者と発熱患者のサーモグラフィ検査を追加して行い、判定基準の検証を行った。さらに日本サーモロジー学会診断基準の正常参考値との比較検討を行い、環境条件の差による温度補正値の検討を行った。発熱患者をインフルエンザ患者とインフルエンザ以外の熱性疾患で比較検討したところ、病態により体表温度と体温の関係において相関の強さに差異がみられた。このことから、発熱性疾患全般の基準ではなく、疾患ごとの判定基準が構築されることが望ましいことが明らかになった。さらに、体表温度のパターン分類の検討では、体温が高熱でない場合や発熱が未発症の感染症患者でも、顔面の体表温の画像パターンは健常者とは異なったパターンを示す症例が認められた。また、顔面の部位によって相関関係に差異があり、有意な相関のある部位でも、発熱患者を確実に全例検出できるほどの強い相関はなかった。近年、エボラ熱の制御に放射温度計が用いられているが、本研究の結果により、放射温度計を発熱判定に適応する場合は、測定部位を慎重に選択する必要があることが明らかになった。環境条件の検討では、高温環境下においても発熱患者と健常者の体表温度に差異があるかについて検討した。高温環境下の健常者よりも発熱患者の体表温度の方が有意に高値を示したことから、サーモグラフィによる発熱判定の有効性が明らかになった。これらの知見を取り入れることにより、診断基準の精度は向上すると考えられる。
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