研究課題/領域番号 |
25670941
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮下 光令 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90301142)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 准教授 (30381916)
塩飽 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50250808)
佐藤 一樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60583789)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 緩和ケア / 終末期ケア / 評価 / 質 / 看取り / 臨終 |
研究概要 |
H26年度ではH24-25研究の結果に基づき、英国において広く利用されているLCP(Liverpool Care Pathway)を修正して作成したわが国における看取りのケアのクリニカル・パスの評価を行うことを目的に研究を開始した。しかし、H25年7月に英国の第三者評価委員によりLCPを評価したIndependent Reviewにより英国内におけるLCPが不適切な使用や患者・家族に対し不利益を与えている可能性があることが発表され、英国政府に対しLCPを段階的に廃止するよう勧告を出された。これを受け、我々の研究グループでは英国における情報を収集し、今後の方針について検討した。その結果、英国でもLCPの利用は欠点より利点が大幅に上回ると考えられているものの、不適切な利用は研究が不十分な状況で政府が拙速に非がん患者も含めてLCPの利用を医療制度に組み入れたことや、看取り期のケアに関する教育の不十分さなどが原因であると考えられた。そのため、われわれのグループでは、対象をがん患者に限り、LCPというツールの開発だけではなく、それ以前からの医療者に対する看取り期のケアの教育を充実させるためのプログラムとセットで看取り期におけるチェックリストを開発し、家族向けパンフレットも積極的に活用するという方向で検討することとした。名称もLCPの名前は使わず、日本独自のものとして開発することを確認した。H25年度には病院版、在宅版、施設版を中心に教育プログラムおよびチェックリスト、それらの運用手順書の開発をほぼ終了した。小児版は家族用パンフレットがないため、まずそれを開発することにした。なお、当初予定していた看護師および遺族による看取り期のケアの質を評価する尺度の開発は上記の英国で起きた問題の影響を受けないため、予定通り実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年7月に英国の第三者評価委員によりLCPを評価したIndependent Reviewにより英国内におけるLCPが不適切な使用や患者・家族に対し不利益を与えている可能性があることが発表され、英国政府に対しLCPを段階的に廃止するよう勧告を出された。これを受け、我々の研究グループでは英国における情報を収集し、今後の方針について検討した。これは検討が振り出しに戻ったことを意味するが、今後の方針について検討するため昨年度までの研究成果が活用できたので、1年間でほぼ方針を確定することができた。なお、当初予定していた看護師および遺族による看取り期のケアの質を評価する尺度の開発は上記の英国で起きた問題の影響を受けないため、予定通り実施した。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度研究ではH25年度研究で開発したプログラムの緩和ケア病棟や訪問看護ステーションにおける実施可能性を検討する予定である。その後、可能であれば一般病棟において使用前・使用後の1群の前後比較試験を行う予定である。当初予定していたランダム化比較試験を実施することは、英国において生じた問題の関係で振り出しに戻って考えなくてはならなくなったことや、英国同様の問題が日本で生じないよう、慎重に研究をすすめる必要が出てきたことから難しいと考えている。ただし、ランダム化試験を用いなくても前後比較試験が成功すれば実用上十分なエビデンスが得られると考えている。なお、施設版は実際に適用となる患者数が少ないため試験使用になると考えられ、小児版は小児の家族用の看取りのパンフレットの作成を終了することが目標である。
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次年度の研究費の使用計画 |
英国におけるindependent reviewの結果、研究計画の大幅な変更が必要になったため。 H26研究計画に基づき使用する。
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