研究課題/領域番号 |
25670946
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
升谷 英子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (70213759)
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研究分担者 |
荒尾 晴惠 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50326302)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 認知機能障害 / 乳がん患者 / ホルモン療法 |
研究概要 |
本研究の目的は、ホルモン療法を受ける乳がん患者の認知機能障害の実態を明らかにすることである。初年度は、①「ホルモン療法を受けるがん患者の認知機能低下」について文献検討を行い、②「ホルモン療法を受けるがん患者の主観的認知機能評価尺度の作成」に関する研究計画書の作成過程にある。本来の計画では、文献検討とともに<個別のインタビュー調査>も行い、実態調査に適切な主観的認知機能評価尺度を選択予定であったが、文献検討を行う中で研究計画の修正が必要と判断された。 文献検討では、ホルモン療法中に影響をうける認知機能として、注意力や集中力、記憶力(言語的、視覚的)、情報処理速度、実行機能などの領域が整理されたが、大半は客観的認知機能検査の結果であり、主観的認知機能評価では有意な低下を認める報告はほとんど認めなかった。これらの文献では尺度として、Attentional Functional Index(AFI)やCognitve Failures Questionnaire(CFQ), Patients Assesment of own Functionin(PAOF) などが用いられていたが、これらは、ホルモン療法患者用に開発されたものではない。一方で患者の自覚として集中力や記憶力の問題を示す報告もあるため、既存の尺度では特異性や感度が不足し、ホルモン療法中の軽微な変化を捉えることが困難であることも考えられた。近年では、化学療法患者における認知機能障害のQOL尺度としてFACT-cogが開発されているが、邦訳されていない。 以上よりホルモン療法中の乳がん患者に適用できる主観的認知機能評価に適切な尺度が見当たらず、その実態を把握するには、特異性や感度の高い尺度開発を先行して行う必要があると判断し、計画を修正した。本計画は本学の倫理審査委員会へ申請準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、文献検討を行う中で、ホルモン療法に適応できるような特異性や感度の高い適切な尺度が見当たらなかったことから、尺度作成を先に行うこととし、研究計画を修正することとなった。そのため尺度開発のための計画を練り直し尺度案を作成するのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、ホルモン療法をうけるがん患者の主観的認知機能尺度の開発を目的に、計画を作成し倫理審査委員会に書類を提出する予定である。尺度開発では、尺度案を作成し、①専門家による内容妥当性の検討、②ホルモン療法中の乳がん患者による表面妥当性の検討を経て、尺度案の精錬化を行い、③妥当性信頼性の検討といった3段階の調査を行う予定である。そのため研究計画の作成、倫理審査の申請などの準備を迅速に進めるように努めることが重要である。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度は、文献検討とともに質的調査を行う予定であったが、尺度開発への調査計画の変更に伴い、使用額に変更が生じた。物品費では尺度開発に必要な統計ソフトを追加購入したため、物品費が予定より多くなった。その一方で質的調査を実施しなかった人件費や謝金、旅費について予定より大幅に少なかったことから全体的に予定した金額より少なくなった。 研究費については、調査のための謝礼、印刷費、郵送費、旅費、書籍代を計画している。旅費については、国内旅費は、日本がん看護学会、国際がん看護学会へ参加するための旅費、学会参加費として使用する。そこでは、ホルモン療法中の認知機能低下に関する問題や、服薬管理の問題等について諸外国の状況や最新の知見について情報収集する予定である。調査計画を変更したことから3段階の調査にかかる費用が必要となるが、最初の2段階は対象者数が少ないため、助成金の範囲内で実施可能と考えている。
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