本研究の目的は、ホルモン療法を受ける乳がん患者の主観的認知機能評価尺度の開発を行うこと、および当該患者の主観的認知機能低下の実態を明らかにすることの2点である。まず、尺度開発の手順に沿って尺度案を作成し、患者を対象に信頼性妥当性調査を行った。402名の対象者を分析した結果、尺度の内的一貫性と構成妥当性が確保された。次に、主観的認知機能評価尺度の得点をもとに、調査対象者を高得点群、中得点群、低得点群に分けて分析した。高得点群では、更年期症状や倦怠感、抑うつ、不安など症状の得点が有意に高かった。加えて、高得点群において、患者のQOLは低下しており社会生活への支障を招いている実態が明らかとなった。
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