研究課題/領域番号 |
25670952
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小松 浩子 慶應義塾大学, 看護学部, 教授 (60158300)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 若年女性がん患者 / 妊孕性温存 / 意思決定支援 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究の目的は、若年女性がん患者が「妊孕性温存に関する理解と意思決定支援を促進する統合ケアモデルの開発」を行うことである。 【経過および成果】初年度に引き続き、2年目はがん看護専門看護師、がん化学療法看護認定看護師、乳がん看護認定看護師および不妊症看護認定看護師15名を対象とし、半構成的質問紙を用いて、3つのグループ(5-6名)に各90分間のフォーカスグループインタビューを行った。インタビューでは若年乳がん患者に対し、看護師がどのように妊孕性温存に対する意思決定支援を行っているかなどについて尋ねた。収集したデータは質的に分析した。 その結果、コアカテゴリーは<不確かな将来を見据えたlife planningの支援>が抽出された。看護師は、若年女性ががんの診断を契機にがん治療の選択だけでなく、妊孕性の課題に直面し、その妊孕性温存の可能性を希望の支えとして関与していくかの判断や妊娠、出産あるいは結婚などのlife planningも含めた意思決定が迫られているという特徴を認識したうえで、不確かな将来に患者が歩みだせるように患者自身が納得し、あるいは折り合いをつけながら「人生設計をしていく(life planning)プロセス」を支援していた。 がん治療の開始時期が迫る状況で「限られた期間での多重の選択」する難しさについて不妊症看護を専門とする看護師は痛感しており、施設や診療科を超えた連携によりこれらの課題を改善していくことを求めていた。 分析結果および文献検討に基づき、妊孕性温存に関する理解と意思決定支援を促進するケアモジュールの要素を次のように抽出・構造化した。①情報リソースモジュール ②ニーズアセスメントモジュール ③選択肢とビジョン検討モジュール ④照会と連携モジュール。当事者によるタスクフォースを公募し、ケアモジュールの内容妥当性と実用性の検討を計画中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケアモジュールの内容妥当性と実用性、有用性の検討がやや遅れている。 ケアモジュールの内容妥当性と実用性、有用性については、妊孕性温存について説明を受け、意思決定を行った経験をもつ乳がんサバイバーを対象に意見集約を試みている。しかし、対象に抽出方法、選択基準等、厳密な倫理的配慮のもとに実施していく必要があり、その基準で研究を実施できる施設の選定に苦慮している。
|
今後の研究の推進方策 |
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき、慎重に倫理的配慮を検討したうえで、妊孕性温存について説明を受け、意思決定を行った経験をもつ乳がんサバイバーを公募する方法を再検討する。インターネットによる意見集約を視野に入れて当事者の視点から、ケアモジュールの内容妥当性と実用性の検討を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ケアモジュールの内容妥当性と実用性、有用性の検討が「やや遅れている」ためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
ケアモジュールの内容妥当性と実用性、有用性に関する調査やモジュール作成に使用する予定である。
|