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2014 年度 実施状況報告書

ホルモン治療中の乳がん女性のためのセルフトリートメント支援システムの評価

研究課題

研究課題/領域番号 25670954
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

飯岡 由紀子  東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (40275318)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードがん看護学 / 乳がん / ホルモン治療 / ランダム化比較試験 / 評価研究
研究実績の概要

ホルモン治療中の乳がん患者を対象としたセルフトリートメント支援システム(ii-navi)の効果を評価するランダム化比較試験を行った。ii-naviは、ホルモン治療による副作用をパソコンに登録できる、結果が1枚のシートで出力される、生活に役立つビデオを閲覧するという3つの特徴をもつシステムである。研究対象者は、50歳未満で、タモキシフェン治療を開始後3ヶ月~2年未満の乳がん患者とした。アウトカム指標は、知識尺度、心理的well-being尺度、QOL尺度を活用し、介入前、介入後、介入後1ヶ月で測定した。研究者所属大学と研究協力施設の倫理審査の承認を得て、2014年1月~12月までデータ収集を行った。
ランダム割付により実験群44名、対照群56名となったが、PCの故障や海外出張等のため6名が脱落となり、実験群は38名となった。対象者の平均年齢は44.2歳、65%が既婚者で22%が独身だった。71%が仕事を有していた。実験群の76.3%がii-naviを定期的に活用した。利用しやすさやわかりやすさで、約半数が非常に当てはまる又はほとんど当てはまると回答した。ii-naviの副作用入力システムよりも、ビデオ閲覧の方が満足度や役立ち度はやや高い傾向にあった。
ii-naviは、Excel上で活用するシステムのため、OSが異なるパソコンでは運用できない、入力システムが面倒等の訴え、利用状況が7割に留まったことより、より汎用性があり簡便なシステムに改善する必要がある。だが、副作用対策などを具体的に示したビデオは、有用性が高い可能性が示唆された。
今後は、有効性を評価するアウトカム指標の分析を行い、効果を詳細に検討することが課題である。更に、ii-naviの一般化に向けて、システムの改善(Web入力システムにするなど汎用性を高めること)を行う必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ランダム化比較試験によるセルフトリートメント支援システムの介入研究は、予定登録者数には満たなかったが、概ね順調にデータ収集を終了することができた。しかし、統計分析および、一般化に向けたシステムの改善が今後の課題として残っている。ランダム化比較試験の結果からは、汎用性や簡便性が課題となっていたことからも、この課題は本研究において重要課題と捉えられる。統計学者と共に精緻な分析を行い、それを基にシステムエンジニアと共にシステム改善に取り組んでいく予定である。

今後の研究の推進方策

1.ランダム化比較試験の統計的分析
有効性を評価するアウトカム指標の分析を行い、効果を詳細に検討する。アウトカム指標には、知識尺度、心理的well-being尺度、QOL尺度を測定している。統計学者のサジェスチョンを得ながら、ITT解析を用いて、2要因の分散分析を行う。ii-naviの利用状況、年齢、ホルモン治療期間などの要因を活用したサブ解析、もしくは重回帰分析などを行う。分析結果より、ii-naviの効果とともに課題を明確にする。
2.ii-naviの一般化に向けたシステム改善
上記分析を踏まえ、ii-naviの一般化に向けたシステム改善を行う。現在はMicrosoft Excel上での運用であり、利用者が限定されている。対象者が場所を問わず入力や閲覧が可能となり、簡便に操作できるよう、汎用性や効率性を高めたWeb上での運用が望ましい。だが一方で、情報漏洩の危険性が高まるなどの安全上の課題があり、この課題を克服したシステム構築を行う必要がある。システムエンジニアの技術的な協力を得ながら、システム改善を行う。
3.研究成果のタイムリーな公表
関連学会にて、本研究成果の成果を発表する。乳がん看護は治療の発展とともに著しい変化を遂げているが、10年間と標準治療が延長されたホルモン治療中の看護は十分に発展しているとは言いがたい。本研究成果は、10年間の治療期間を支援する方法として、乳がん看護の発展に寄与するものと考える。更に、関連学会での最新の知見を得ることや、同様の研究課題を有する研究者との交流などによって、ii-naviの有用性・汎用性を高めるための示唆が得られると考える。

次年度使用額が生じた理由

計画していたセルフトリートメント支援システム(ii-navi)の効果を検討するランダム化比較試験のデータ収集が終了し、概要の分析は終了した。計画時に立案した予定対象数には到達していないが、全体の2/3の対象者数が確保でき、統計学的分析も可能と判断し、データ収集を終了した。このデータ収集および概要の分析は順調に経過していた。だが、効果を評価するアウトカム指標の分析が不十分である。この分析は、本研究の主軸を成す分析であり、統計学者のサジェスチョンを得ながら、慎重に精緻に進める必要がある。
また、研究分析結果を踏まえたii-navi一般化に向けたシステム改善が実施できていない。ランダム化比較試験の概要分析結果において、より簡便性を高めるなどの改善の必要性が明らかになった。ii-naviの普及と発展において、システム改善は重要課題である。

次年度使用額の使用計画

統計学的分析は、統計学者のサジェスチョンを得ながら進める予定である。この過程では、アルバイトの雇用によるデータ整理、分析結果の資料作成などが必要であり、更には、統計学者への謝金を計上して進める予定である。
また、ii-navi一般化に向けたシステム改善では、システムエンジニアの支援を得ながら取り組む必要がある。システムエンジニアとは業務契約を行う予定である。ii-naviのシステム改善ではWeb上での運用を予定しているが、情報漏洩を防ぐなど安全性を確保しなければならない。従って、システム構築費および安全性確保のための経費を計上する必要がある。
更に、学会での研究成果発表や情報共有を計画している。研究代表者および連携研究者の交通費および学会参加費などを計上している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] がん治療に伴う変化を捉える~実践に活きるアセスメントツール~症状からみる抑うつ・不安2014

    • 著者名/発表者名
      飯岡由紀子
    • 雑誌名

      がん看護

      巻: 19(7) ページ: 658-661

  • [学会発表] ホルモン治療中の乳がん女性のためのセルフトリートメント支援システム(ii-navi)の開発2014

    • 著者名/発表者名
      飯岡由紀子、岩田多加子、作野優子
    • 学会等名
      第34回日本看護科学学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-11-29 – 2014-11-30
  • [学会発表] ホルモン治療中の乳がん女性のQOLに関連する要因の探索2014

    • 著者名/発表者名
      飯岡由紀子、岩田多加子、作野優子、矢形寛、中村清吾、山内英子
    • 学会等名
      第22回日本乳癌学会学術集会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-07-10 – 2014-07-12

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公開日: 2016-05-27  

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