研究課題
本研究では、「ICU日本語版せん妄アセスメントツール(CAM-ICU & ICDSC)の信頼性・妥当性の検証」と、「ストレス対処力と術後せん妄との関連検証」を主目的に遂行した。さらに、ICUでの療養環境(睡眠状況)がせん妄のトリガーあるいは助長要因の可能性があると考え、まず「ICU日本語版睡眠アセスメントシート」を作成した。研究結果は、「CAM-ICUの信頼性・妥当性の検証」では、感度78%,特異度が95~97%でありせん妄アセスメントツールとして良好な結果であることを提示出来た。また、日本語版ICDSCの検証においても良好な検証結果を提示出来た。また、「ストレス対処力と術後せん妄との関連検証」においては152名の対象者に調査を施行した。分析途中結果を以下に提示する。対象者は91名(68.0±11歳、男性64名・女性27名)の段階では、せん妄発症患者は21名であった。せん妄を目的変数にした多重ロジスティック回帰分析の結果、有意な関連が見られた説明変数は、年齢と「手術への受け止め」であった。「手術への受け止め」については、選択肢が1つ消極的になるとオッズ比で2倍以上発生率が高くなっていた。また、術前SOCと術後せん妄には有意な関連はみられなかったが、SOC を支える3構成要素の1つである「有意味感」は、術後せん妄発症患者にはやや低い傾向(P: 0.064)にあることが分かった。本結果から、心臓血管手術チームは、術前患者に対して有意味感がスクリーニングに使える可能性を今後も検討しつつ、手術に積極的になれるような支援の重要性が示唆された。また、「ICUでの日本語版睡眠アセスメントシート」に関する研究は、2016年度9月に開催される国際学会で発表予定である。本研究の施行で、日本におけるせん妄評価の担保が可能となった。さらに、術前患者に対するケアの方向性を示すことが出来た。
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Intensive Crit Care Nurs
巻: 31 ページ: 165-170
10.1016/j.iccn.2014.10.002