研究実績の概要 |
本研究は、以下の2点を目的としている。1. 妊婦のレストレスレッグス症候群(RLS)について、生理学的データと主観的データによるスクリーニングを行い、その頻度を把握する。2. RLSのある妊婦の母児への影響について関連性を記述する。最終年度として昨年に引き続き、1)2)を実施した。 1) 妊娠後期のレストレスレッグス症候群の発生頻度・血液生化学データ・夜間の下肢の活動量、妊婦の睡眠を調べた。 ハイリスク妊婦を対象として地域周産期医療センターに依頼し、入院中の妊婦(妊娠30週前後)におけるRLSのスクリーニング(TDI)・重症度(日本語版IRLS, ver2.2)、QOL(RLS-QOL)を測定した。血液生化学データでは、血清フェリチン・血清鉄・ヘモグロビン・葉酸を同時に測定した。下肢活動量測定と睡眠状況の把握はアクチグラフを使用し、分析した。研究の対象はリクルート対象者99名中、81名から研究協力の承諾を得た。RLSスクリーニングでは、陽性(definite)5人(6.2%)、疑陽性(probable)9人(11.1%)、それらを合わせRLS/WED群は14人(17.3%)であった。RLS陽性群、陰性群において、年齢、血清フェリチン値、血清鉄値、Hb値・葉酸値との間に有意差はみられなかった。下肢活動量では、RLS/WED群8人と非RLS/WED群34人でPLM indexの中央値(25%値-75%値)はそれぞれ11.7(4.0-18.7)、6.9(4.5-13。1)/hrと統計学的有意差は認めなかった(p = 0.421) 2) レストレスレッグス症候群と周産期アウトカムの関連を把握した。 対象施設で出産した妊婦55人の産婦の年齢、分娩歴、分娩様式、分娩時の在胎週数、分娩時間、出血量、新生児のアプガー等、いずれもRLS/WED群と非RLS/WED群の両群間に有意な差は認めなかった。
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