本研究は,1)日米英の小児集中治療室(PICU)での医療者と両親のコミュニケーションとストレスの状況を比較検討し, 2)参加観察法を用いて,米国と英国での両親への介入を把握した上で,3)米英の介入方法を日本にどう応用するのかを検討するものであった。残念ながら,英国の研究協力者の都合で英国との比較はできなかったが,日米比較を行いながらデータ収集と分析を行った。 2013年度は看護師15名,両親2名,2014年度は看護師5名,両親19名,そして今年度は看護師15名,両親6名と,全体で看護師35名,両親27名にインタビューをおこなった。それらを分析し,以下の研究結果をまとめた。1)両親の子どものPICU入院というストレスの高い状況への適応過程(2013年に学会報告し,さらにデータ収集と分析をおこなった結果を,アメリカ側の結果と比較し,2016年4月にカリフォルニアで行われるWestern Institute of Nursing’s 49th Annual Communicating Nursing Research Conferenceで4本の報告の中の1本として発表した。);2)PICUで苦痛を伴う処置をおこなう際の医療者と患児のコミュニケーション(上記国際学会で報告予定。);3)医療者は悪い情報を両親にどのように提供しようとするのか(2015年に2本の学会発表をおこなった。);4)きょうだいがPICUに入院中の患児に面会する機会を作ることが,きょうだいのストレスの軽減にもたらす影響(2015年に学会報告した。) これら4つの現象は,いずれもPICUの特徴を示すものだと思われる。本研究で得た結果を基にして,医療者と両親・患児の相互作用の場での観察を含めた研究を継続したいと考えている。
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