早期離床、早期リハビリテーションで生じる心房細動や不整脈、循環動態の変化は、自律神経活動のアンバランスがもたらしていると考えられる。しかし、これまで自律神経活動の変化を術前から術後、さらに離床までを経時的に評価した例がなかったことから、本研究の対象者では高齢者を対象に離床時や体位変換時に生じる循環動態、自律神経活動の変化を検証した。今後も本研究については継続し、最終的には高齢患者を対象に評価を行う予定であるが、今年度は70 代から80代の概ね健康な高齢者を対象に、体位変換時の基礎的な評価をこなった。仰臥位から側臥位への体位変換時に、とくに左側臥位で男女ともに心拍数が低下した。また、自律神経活動の変化は、高齢男性は右側臥位で交感神経活動が低下する傾向が認められた。この結果は、高齢者の体位変換時には、左側臥位よりも右側臥位を選択する方が、高齢者への負荷を減少できる可能性を見出せた。
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