研究課題
平成26年度は、①スキンテアの全国有病率調査並びに②スキンテアの形態学的特徴から再発を予防するプロトコルの開発を目的に研究を行った。全国調査では、約250施設より約10万5千人のデータを回収し、950部位のスキンテアについて解析を行った。その結果、調査対象における粗有病率は0.78%であり、入院患者数や高齢者割合、診療科、一般病院か否かなどの施設種類、等がスキンテアの有病率に影響を与える施設特性であることが明らかとなった。スキンテア保有者の多くは寝たきり度がC2であり、42.9%の者にスキンテアの既往があることが明らかとなった。全国調査や先行研究により(Sanada et al, 2013)、スキンテアは再発のリスクが極めて高い創傷であることが示唆された。そこで、スキンテアの形態に着目し、どのような外力が加わったことで生じたスキンテアなのかを推定するアルゴリズムの構築のため、質的研究を行った。長期療養病院に入院中の患者のスキンテアを詳細にスケッチした結果、形状、皮弁の向き、部位、創周囲の紫斑の形状などのいくつかの特徴的な要素が明らかとなった。今後これらの要素を基に起因外力推定アルゴリズムを構築する予定である。また、スキンテアの発生リスクに関連する皮膚の脆弱性が日本人特有のものであるのかどうかを検証するため、オーストラリアのCurtin Universityと共同でスキンブロッティング法を用いた国際共同研究を実施した。スキンブロッティングにより高齢者の皮膚より我々の報告したスキンテア関連タンパク質であるIV型コラーゲンやMMP-2などをターゲットに比較するためのサンプルを回収した。これらの研究により、テーラーメイドスキンテア予防プロトコル開発のための疫学的データおよび分子生物学的データが収集でき、発生及び再発予防のための方略を立てることが可能となった。
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Geriatrics and Gerontology International
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10.1111/ggi.12405.
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