本研究の目的は、気分障害による長期休職者の職場復帰リハビリテーションの一環として、当事者の主体性やQOL(Quality of Life)を重視し、他者との関わりに注目した症状自己管理プログラムを開発することである。 まず、文献検討及び症状自己管理の実践場面のインタビューの分析結果から、プログラムの概念枠組みに「リカバリ-( Recovery)」を取り入れ、症状自己管理プログラム(案)を検討した。また、リカバリー志向のプログラムにするため、リカバリーを促す教育プログラムである「Wellness Recovery Action Plan(WRAP)」を開催し、当事者であるファシリテーターから、気分障害による長期休職者のための症状自己管理プログラム(案)に関する意見をもらった。それにより、プログラム実施においては、プログラム提供者と参加者が対等な関係性で対話し、協働することを重視することにした。また、概念枠組みを基に作成したプログラム(案)を修正・洗練するため、まず職場復帰リハビリテーションの実践家と検討会を行い、妥当性を検討するとともに、修正を行った。さらに気分障害による長期休職者である当事者にも、内容を提示して検討会を行うことでプログラム(案)を修正、洗練し、妥当性を高めた。 今後は、プログラム(案)のパイロットスタディを実施し、有用性、適合性を検討して妥当性の高いプログラムに修正し・洗練し、実施上の課題を明確にする必要がある。
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