研究課題/領域番号 |
25671001
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
横島 啓子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (50369469)
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研究分担者 |
前野 博 至学館大学, 健康科学部, 准教授 (00369597)
藤尾 祐子 順天堂大学, 保健看護学部, 助教 (60637106)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 在宅介護 / ウェブ・対面相補型ネットワーク |
研究概要 |
在宅患者の医療介護ニーズと医療福祉職との連携問題を、高齢者夫婦世帯の経年的なインタビュー調査により検証し、地域の医療・福祉関係者等を含めた多職種間・対面相補型地域連携ネットワークを構築することで問題を解消することが本研究の目的である。 初年度は退院カンファレンスに参加し、カンファレンス内容から在宅移行の問題点を抽出することを目的とした。参加するカンファレンスの条件は、1.対象患者は高齢者夫婦世帯(夫婦共に65歳以上)であること。2.退院直前カンファレンスであること。3.病院及び地域の専門職が複数参加することとした。平成25年9月に2病院の倫理審査の承認を得て調査を開始したが、高齢者夫婦世帯の場合、ほとんどが退院後は施設入所となり、該当者を得ることが出来なかった。そこで、平成26年1月にさらに2病院に研究協力を依頼した。 3月に在宅復帰が決定した高齢者夫婦世帯のカンファレンス内容では、病院内の各専門職は退院後の医療処置管理に関する支援の必要性について述べており、地域の介護支援専門員や訪問看護師からは、退院後すぐに訪問を行い状況を把握し、継続的に関わるよう検討がなされていた。患者の配偶者は、自分で医療処置を行えると回答しているが、各専門職はカンファレンス後のインタビューで、配偶者自身が自分のできないことを自覚していないことにより、退院して実際に自らが介護を行うことで、介護負担が増強し、配偶者自身も健康状態を損なう可能性があることを懸念していた。今後継続して高齢者夫婦世帯の健康面・生活面の変化を観察することで、サービスの必要性と提供の時期・方法について検討していけるものと考えている。 平成26年度は引き続き在宅復帰が決定した高齢者夫婦世帯の退院カンファレンス内容を分析することと、退院後の6ヶ月、1年後の面接調査を行い、面接内容を逐語録に書き表しテキストマイニングにて分析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初2病院にヒアリングを行い、高齢者夫婦世帯患者の年間入院者数を確認し調査を依頼したが、組織編成が変更になったことで研究協力を辞退される施設があり、急遽協力が得られる病院を検索した。研究協力の依頼を行い、倫理審査の承認を得るために数ヶ月を要し、研究がスタートできたのが平成25年9月であった。研究協力依頼以降、高齢者夫婦世帯患者のケースは、全て退院後施設への入所対象者となり、在宅復帰につながるケースを得ることができなかった。そこで更に協力病院を2病院増やし倫理審査の承認を得て、平成26年1月時点で合計4病院を研究対象施設とした。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査の承認を得て新たに2病院を追加し、病院内での各部門への調査手続きの周知を行い、平成26年2月に4病院を対象に調査を開始することとなった。本研究の最大の課題は研究対象者が現時点で、予測した事例数より大幅に不足していることにある。しかし、一方で単に地域の高齢夫婦世帯に現時点での問題をヒアリングするのではなく、在宅復帰直前の退院カンファレンスから経時的に健康面や生活面の変化を捉えることで、より問題を的確に捉えることとなり、在宅サービスの必要性を明確にできるものと思われる。そこで、調査協力病院を増やしたこともあり、現在の調査手順のまま、病院からの該当者の連絡を得て調査を実施していきたいと考えている。しかし、半年後に該当者が10例を下回る場合は、訪問看護ステーションの協力を得て、地域で生活する高齢者夫婦世帯患者の在宅サービスの内容、地域連携や地域社会資源の情報入手の状況、ADL、健康状態、生活状況、生活環境、在宅療養に伴う課題や困難とその対応状況について調査を進めていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度の研究目的は、高齢者夫婦世帯患者が在宅に退院する際の退院カンファレンスに参加し、カンファレンス内容の分析を行い、対象事例を継続的に観察していくことで、健康面・生活面での問題を抽出することであった。研究協力の承認を得られた病院が組織編成が変わったことで、研究協力の取り下げがあり、新たに協力病院を探すのに時間を要し、さらに倫理審査会で承認を得るまでに数ヶ月の期間を要した。現時点で4病院の研究協力を得ているが、研究対象に該当する対象事例が1事例のみであったことから、今年度予算計上していた調査に要する交通費、謝礼、ノートパソコン、テキストマイニングソフト等の購入を見合わせたため当該助成金が発生した。 次年度は、今年度と同様に高齢者夫婦世帯患者および単身高齢者の退院カンファレンスに参加し、退院後の6ヶ月、1年後の訪問調査を行う。そのため、調査に伴う交通費や謝礼などは次年度に使用する。また、データを専用に保存し、テキストマイニングを導入するためのPCを購入する予定である。 さらに一部の結果を看護系学会に発表予定であるため、旅費を研究連携者分を含め使用する予定である。
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