研究課題/領域番号 |
25671001
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
横島 啓子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (50369469)
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研究分担者 |
前野 博 至学館大学, 健康科学部, 准教授 (00369597)
藤尾 祐子 順天堂大学, 保健看護学部, 講師 (60637106)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 在宅介護 / ウェブ・対面相補型ネットワーク |
研究実績の概要 |
平成26年度は高齢者夫婦世帯患者の在宅生活を継続して観察し、多職種者とのネットワークを利用した情報の共有と患者・家族に必要な情報を提供することが課題であった。本課題に対する事例を10例と計画していたため、退院カンファレンス参加者以外に、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業者へ研究協力依頼を行い、12例(退院後患者3事例、在宅介護者9事例)のインタビューを実施することができた。 さらに高齢者が地域で自立した生活を送るための支援方法を検討するため、福祉国家であるフィンランドにおける在宅介護の視察を行った。本研究が課題としている在宅高齢者への情報提供は、フィンランドにおいても同様の課題であり、サービスを受けていない高齢者の中から、サービスが必要な高齢者をどのように発見するかということが課題とされていた。さらに、在宅高齢介護者へのインタビューを通して、常に介護者がヘルパーに相談を行い、その情報を必要時看護職に報告するという対応が迅速に実施されており、介護-看護の連携は十分図れていることがわかった。このことから、看護・介護以外の職種をメンバーに入れることによって、さらに在宅生活を行う高齢者のサポートにつながることが示唆された。 次に専門職種を介入させる事前準備として、今年度はインターネット上にテスト用のフォーラムを立ち上げることとした。アプリケーションとしてはLMS(Learning Management System)のオープンソース・ソフトウェアであるMoodleのフォーラム機能を利用する。当該サーバを立ち上げた上で、平成27年度は実際にインタビューで得られた高齢介護者からの質問等について研究者間で意見交換を実施する。さらに、そのテスト結果をもとに、フォーラムの登録方法、投稿方法などを見直し、多職種がフォーラム機能を有効に利用できるようにマニュアルを作成するなどした上で、引き続き意見交換を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画書では、研究2年目に退院6ヵ月後と1年後の2回にわたって高齢者夫婦世帯患者を経過観察する予定であったが、実際に在宅への退院が決定した高齢者夫婦世帯患者は3事例のみであった。3事例については6ヵ月後のインタビュー調査は終了しており、平成27年に退院1年後の調査を実施する予定である。さらに研究計画では在宅生活を経過観察する事例を10事例と計画していたため、訪問看護ステーション等に依頼して、在宅介護を必要とする高齢者夫婦世帯患者の承諾を得ることができ初回調査を終了することができた。その結果、高齢介護者は自分自身の体力の低下や、交通事情等による生活のしづらさを感じていたことがわかったが、インタビューは3月まで実施したため、全情報の分析は平成27年度に実施する予定である。 Moodleについては、当初「順天堂大学ムードル」を使用する予定であったが、研究分担者である前野が構築したMoodleを利用することとした。平成26年度はテストコースを立ち上げ、研究者間でテストができるように準備を進めた。これらのことは当初計画の進度に比べるとやや6ヶ月ほどの遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
専用ムードルのサーバを立ち上げ、各専門職の参加を得る。調査対象者には基本的には直接状況を聞き、生活上の不安や疑問等について、Moodleのフォーラム機能を利用し項目ごとにスレッドを立ち上げる。スレッドごとにネットワーク上で専門職者の情報提供・意見交換を行なう。その結果を直接質問者に返答する。全事例について同様に実施し、6ヵ月後に再度インタビュー調査を実施する。得られた結果は介入前である6ヶ月前の調査結果と比較し、ネットワークの効果を検討する。また立ち上げられたスレッドの内容とインタビュー調査から、高齢者夫婦世帯患者の在宅介護の課題を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度はインタビュー結果を分析するため、パソコンおよびテキストマイニングソフトを購入する予定であったが、平成27年度に国際家族学会において本研究の一部を発表することが決定したため、今年度予算から旅費を支出した。 さらに研究代表者である横島の所属が変更になり、平成27年度のインタビュー調査にかかる旅費が当初の計画以外に発生するため、今年度予算を次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はMoodleのフォーラム機能を利用した多職種間の連携と対象者への情報提供の実践を行なう。そのため、研究協力者である専門職への謝礼と、在宅高齢者の2度目(実施時期9月~10月)のインタビュー調査の謝礼および交通費に使用する。また、インタビュー調査の結果はテキストマイニングを用いて分析を行なうため、テキストマイニングソフトを購入予定である。
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