研究課題/領域番号 |
25671007
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
山崎 登志子 広島国際大学, 看護学部, 教授 (50282025)
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研究分担者 |
中村 百合子 広島国際大学, 看護学部, 講師 (10364118)
糠信 憲明 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (20412348)
大沼 いづみ 広島国際大学, 看護学部, 助教 (40441571)
松本 睦子 広島国際大学, 看護学部, 教授 (90263706)
俵 由美子 広島国際大学, 看護学部, 講師 (00320060)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 精神障がい者 / 倦怠感 / QOL / がん患者 / デイケア / 統合失調症 / 抗精神病薬 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は地域で生活する精神障がい者のQOL阻害要因の1つとして倦怠感に着目し、健常者やがん患者との比較を通して、精神障がい者の倦怠感の特徴や関連要因を明らかにすることである。初年度である平成25年度は、デイケアに通所している精神障がい者を対象としアンケート調査を実施した。その結果、232名中166名(回収率71.6%)から回答を得た。2年目となる平成25年度は、前年度の結果の分析を行い、その成果を発表するとともに、対照となる健常者に対する調査を実施した。 以下に今年度の具体的な実施内容を述べる。 1.今回の対象者とがん患者、健常者との比較を行うため、奥山ら(2000)が開発したCFS(Cancer Fatigue Scale)を使用した。精神障がい者に使用するにあたりこの尺度の妥当性、信頼性のテストを行った結果、因子分析においてがん患者と同じ因子構造が得られ、累積寄与率は54.7%であった。またCronbach α係数は.903~.770と高い内的整合性が見られた。以上の結果からがん患者との比較は可能であると判断した。 2.デモグラフィック変数の他、睡眠の程度、活動の指標として運動と旅行に参加する頻度およびデイケアへの参加頻度、調査時間、サポートの量およびサポート元、抗精神病薬の使用量と種類について、精神障がい者の倦怠感との関連性を分析した結果、睡眠の程度、運動と旅行、調査時間、抗精神病薬の使用量において倦怠感との有意な関連が認められた。これらの結果の一部を、日本精神保健看護学会および日本看護研究学会にて発表した。 3.健常者の倦怠感に対するアンケート調査を行い、253名中121人から回答を得た(回収率47.8%)。現在、このデータを分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は精神障がい者と比較対照を行う健常者の倦怠感に関するアンケート調査を行い、121人から回答を得た。現在そのデータを分析中である。しかしながら、26年度に行う予定であったもう1つの対照比較となるがん患者の調査については、調査予定施設の体制変更等により予定通りの協力を得ることができず、現在別途協力病院を模索中である。 また、平成27年度に予定しているレクリェーション活動前後の倦怠感の比較調査については、現在倫理申請書を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は遅れているがん患者への調査依頼および実施を行う。また、予定しているレクリェーション活動前後の倦怠感の比較調査については倫理申請を行い、了承を得た後に、調査を実施していく予定である。平成26年度の調査結果により運動および旅行や散歩が倦怠感の軽減効果が見られたため、レクリェーション活動内容としてあまり負荷が生じず、体力の違いにあまり影響されない程度の散歩に焦点を当て、前後の比較を行う予定である。 また、精神障がい者の倦怠感と活動、薬物との関連についての調査結果について、ドイツ、ハノーハーで行われる世界看護科学学会での発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
がん患者を対象とした調査が平成26年度中に行われなかったことが次年度使用額に変更が生じた理由である。調査を実施できなかった理由は、施設長の変更等、調査予定施設体制の変化により、調査依頼がスムーズにいかなかったためである。調査が実行できなかったため、平成26年に追加した共同研究者が調査のための予算を使用できなかったことが最大の理由となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は昨年行う予定であったがん患者への調査依頼および実施のための調査費用が生じる。その際、平成26年度に追加した共同研究者がともに研究活動を行うため、昨年度の予算分を追加する予定である。
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