研究課題/領域番号 |
25671010
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉井 初美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10447609)
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研究分担者 |
赤澤 宏平 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (10175771)
齋藤 秀光 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40215554)
北村 信隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (90224972)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 口腔環境 / 口腔衛生指導 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、統合失調症患者に実効性のある口腔衛生指導要項を提供することである。そのために本年度は、開発した啓発資料の有効性を検証するために、20か所の精神科デイケアに通所する380名の精神障害者を対象に啓発資料視聴半年後と1年後にアンケート調査を実施し、2016年2月に終了した。啓発資料視聴前データの解析結果は以下のとおりである。①口腔状態スコアと関連のある人口学的因子は特定できなかった(p>0.05)。②セルフケアと関連のある人口学的因子は、性別、振戦、たばこが歯周病に与える影響に関する知識、周囲の人々の歯みがきへの関心だった(p<0.05)。③男性は女性よりセルフケアスコアが有意に低かった(p<0.001)。④振戦が生じている対象者は、生じていない対象者よりセルフケアスコアが有意に高かった(p<0.05)。⑤周囲の人々の歯みがきへの関心の高い対象者が、低い対象者よりセルフケアスコアが有意に高かった(p<0.05)。以上から、抗精神病薬の副作用である振戦が生じ、歯みがきがままならなくなることによって、対象者はセルフケアに、より注意を払うのだと言える。さらに、周囲の人々の歯みがきへの関心の高さが、対象者のセルフケアの高さと関連していたことから、人的環境の重要性が示唆された。 さらに、啓発資料視聴前から視聴半年後までの期間でアンケートに応じた対象者のうち、有効回答数142名について、啓発資料の効果を検証したところ、以下の内容で有意な向上が示された。①フッ素入り歯磨剤の使用 ②歯間ブラシまたはフロスの使用 この結果から、本研究で開発した啓発資料は対象者のセルフケア促進には至らなかったが、歯磨き用具を工夫するために役立つことが示された。
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