研究課題/領域番号 |
25671011
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
長江 弘子 千葉大学, 看護学研究科, 特任教授 (10265770)
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研究分担者 |
関本 仁 千葉大学, 看護学研究科, 特任助教 (10731002) [辞退]
岩城 典子 千葉大学, 看護学研究科, 特任研究員 (20731136)
増島 麻里子 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (40323414)
関谷 昇 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (00323387)
谷本 真理子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (70279834)
櫻井 智穂子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (40344973)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エンド・オブ・ライフケア / 参加体験型プログラム / 生と死 / ナラティブ |
研究実績の概要 |
【本研究の目的】 本研究は、日本独自の地域や文化を尊重した人々の生き方について語り合う文化を創出するために地域における「エンド・オブ・ライフケア・ファシリテータ」(EOLCF)育成の方略を探索し、試行することでそのプロセス評価、影響・成果を評価し課題を明らかにすることを目的とする。この目的を達成するために本年度は第2段階(平成26年度):研究協力に同意した市町村の住民、民生委員やケアマネジャ等、地域づくりのキーマンとなる保健医療福祉行政従事者を対象にし、1)で企画したプログラムを実践する。 【方法】対象は研究協力が得られたA市の訪問看護ステーション連絡協議会に所属する訪問看護師師20名である。研修は参加体験型のワークショップ形式で研修の目的に合わせた課題がある。課題と連動した講義とグループ学習を組み合わせた形式で3日間の連続研修である。研修内容は、①エンド・オブ・ライフケアの概念定義を理解することと「望ましい死」について語り合う、②事前指示の考え方と死について語る、家族として、支援者として話す、聞く体験から学ぶ、③意思決定支援の3本柱を用いたアプローチを事例で学び現実への適用を考える、である。 【結果】参加者の9割がEOLのついての理解が深まり意義があると回答した。生と死について語り合う経験は専門職である自分と生活者としての自分とをすり合わせる貴重な経験となったことが学びとして大きく、それがケア提供者として重要であることの気づきとして挙げられていた。プログラム化の課題として残ったことは日本における事前指示の取り扱いにかかわる法的課題や現実にどう対応するかについて当事者である市民や多職種で語り合うことが必要であることが示された。今後、語り合いから生み出される望ましさを共有する市民と多職種での参加体験型のプログラム構築が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「終活」や「エンディングノート」が広まり、一定の知識となっていること、また書くだけではなく年齢に関係なく健康な人々も含め、その家族、そして専門職者ともに健康と生活に関する合意形成のプロセスそのものが重要であり、終生期(エンド・オブ・ライフ)の過ごし方を考える必要があるということが社会的にも広く普及しつつあるためであると考える。多くの人が病気としてではなく自分の生の一部としてエンド・オブ・ライフについて考え、周囲の大切な人と語り合うことの価値を認識しつつある。しかし、いつだれとどのようにすればいいかについて、機会や場、タイミングが重要であり、このプログラムがその契機として果たす役割は大きい。そうした社会的要請があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の次年度は、市民教育プログラムの3回目が終了し、プログラム化できる予定である。その一方で専門職に関しては多職種での研修を計画している。将来的には、市民と専門職が共に学ぶ機会を提供するプログラム構築へと進展させていくための課題を整理する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者である谷本真理子氏と櫻井智穂子氏の実質的な分担は研修の企画評価と成果評価に関する分析とまとめである。次年度には最終年度として市民、看護専門職や多職種協働における研修の成果評価を中心となるため研究の分担を遂行できるものと考える。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果のまとめに当たり、データ分析結果の整理、会議の実施によって結果の考察を行う。それゆえ、これらの会議や研究補助者の雇用、最終的な報告書作成に要する経費が必要となる。また、学会での研究発表に要する旅費やポスター作製費、論文の投稿に関する経費として使用を計画している。
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